横浜が鮮やかなトリックプレーを決め、王者埼玉を翻弄(ほんろう)した。
5-14で9点を追う後半7分、それは発動された。
NO8マフィの負傷退場直後。嫌な流れだったが、敵陣でマイボールの試合再開だった。ロックのコーバス・ファンダイク(28)がペナルティーから地面上のボールを軽く蹴り、攻撃を再開する。右斜め前に走ると、すぐにボールを芝に置いた。
これを南アフリカ代表SHファフ・デクラーク(31)が右から左に拾い、その左で縦に入ってきたFBエスピー・マレー(33)へ優しくパス。見事に相手守備を破り、インゴールに走り込んで喜んだ。
埼玉ディフェンスは4人がファンダイクにつられ、1人はボールを既に手放した後のデクラークへつかみかかり、あとの4人の間をマレーが抜けた。誰にも触れられることなく完璧に守備網を切り裂いた。
このプレーについて、試合後の会見で沢木敬介監督とCTB梶村祐介主将に質問が飛んだ。
-誰が考案したのか
沢木監督 誰が考えたかは、まあ、ご想像にお任せしますけど、ああいうのは面白いじゃないですか。ライブで楽しむのが、僕らの根底にある。楽しい気持ちになればいいなあ、と思って。
-埼玉用か
沢木監督 もちろん、この試合用。相手のディフェンスの形を見てですけど、あんまり(これ以上)言うと(笑い)。
-サインを出したのは
梶村 今日だと(SOの小倉)順平さんが出しました。勝負の時間帯とか流れを見て、このタイミングならいけるんじゃないかと。
2点差に迫った勢いで一進一退の攻防に持ち込み、後半34分、ついに逆転。しかしラストプレーで再度ひっくり返され、埼玉相手に惜敗したものの、記憶に残るプレーでリーグワンを盛り上げた。