「東京都知事杯 令和5年度 東日本学生レスリングリーグ戦」が、今日16日から3日間、東京・駒沢屋内球技場で開催される。4年ぶりの有観客試合に選手たちの士気も上がる。各校7階級の代表で競るフリースタイルの団体戦(1部リーグ16校、2部リーグ5校+学連選抜)。優勝候補筆頭の日体大は3大会連続優勝(コロナでの中止をはさむ)がかかる。昨年に続く団体戦全制覇のグランドスラムへ、まずは1冠目を狙う。

4年ぶり有観客開催

9日、決戦の日まで1週間となった日体大の練習場で向かい合った清岡幸大郎主将(4年)。その右目が紫に腫れていた。「自分の悪い癖でもあるんですが…。相手の肩が当たってしまって」。反省の弁を聞きながら、チームとしての強さの根幹を感じた。


U20世界王者で、4月に入部した大物ルーキーの西内悠人が言う。「スパーリングになった時にスイッチが切り替わって、本当にライバルで、覇気むき出しみたいな感じで」。それまでは学年による上下関係に縛られない仲の良さがある面々が、一変する。それがたとえ、最上級生、主将だとしても。清岡は「そこで切磋琢磨(せっさたくま)するのが、皆のレベルアップにつながってる」と説く。緊張感ある試合を想定した練習が常。目に青たんを作る姿が、最強集団の理由を物語った。


昨年は東日本学生リーグ、全日本大学グレコローマン選手権、全日本大学選手権と、団体戦制覇のグランドスラム(GS)を遂げた。湯元コーチは「去年も出たメンバーが残っている。自信を持ってやってる。チーム自体が連覇でGSするぞと言ってます」と見やる。3月の国際大会で強豪を破って優勝した清岡に関しても「中心ですね。1年の時からカリスマ性があった」と太鼓判を押す。


1月に発足した「清岡組」は、2月に山梨学院大との合同練習が実現した。相手からの申し出を受け入れ、本拠で相まみえた。フリースタイル主将の髙橋夢大は「普段の練習とやはり違って、緊張感があった。試合に近い形でできて、すごいよかったなと」と振り返る。


今大会でも一騎打ちが予想される最大のライバルとの手合わせ。20年以上も訪れなかった機会は、手の内を知られる危険性もはらむが、清岡は言う。「リスクよりも、得たものを多くするかどうかは自分次第だと思います」。敵を懐に招き入れる懐の深さこそ、さらに強くなる源。今日からの決戦で、証明してみせる。【阿部健吾】


有力選手紹介

山梨学院大・青柳善の輔(4年=埼玉栄)

4月のアジア選手権でフリースタイル70キロ級に出場し3位。初のシニア国際大会出場だったが「緊張もなく自分の力を出すことができ、世界のシニア選手と戦えていい経験になった」と振り返る。帰国後のU23世界選手権・日本代表選考会で優勝、代表の座を勝ち取った。

主将就任後は「言葉よりも試合の結果で示していきたい」と話し、マットでの活躍を誓う。リーグ戦は「チームとして優勝をめざしている。出場した試合は1度も負けないことが目標」と主将の意地も見せる。小幡邦彦監督(42)は「U17、U20国際大会の経験からシニア大会でも物おじしない。関節が柔らかく、力が強い。稼働域が広くバランスも良く身体の柔らかさが特徴。寝技も強い」と語る。

拓大・塩谷優(4年=自由ケ丘学園)

21、22年アジア選手権グレコローマン55キロ級で2連覇。22年世界選手権グレコローマン55キロ級で3位。4月のU23世界選手権・日本代表選考会ではグレコローマン60キロ級に出場し2位。フリースタイルの実績もあり、22年全日本大学選手権61キロ級で3位。「リーグ戦では、カブリ返し、ローリングで点を取っていきたい。決勝トーナメントに進出し、去年の3位以上が目標」と語る。

高谷惣亮監督(34)は「グレコ55キロから60キロに階級を上げ、昨冬の期間にしっかりトレーニングを積むことが出来た。戦える体になってきたので、実践を重ねて成長して欲しい。フリーでも体のバランスの使い方がうまく、試合勘が高い。リーグ戦では、勝ち点を必ず取ってくれるポイントゲッターとして期待したい」と話す。

国士舘大・目黒優太(4年=高松農)

中学入学とともに柔道を始め、中学2年からレスリングとの二刀流。3年時には、全国中学選抜選手権フリースタイル100キロ級2位。高校から本格的にレスリングを開始。3年時は国体グレコローマン92キロ級3位。大学2年時の東日本学生選手権(春季)新人戦グレコローマン87キロ級で優勝、昨年は全日本大学グレコローマン選手権87キロ級3位。

大学からはグレコローマンを主戦場にしているが、昨年の全日本大学選手権フリースタイル92キロ級にも出場し2位。「グレコで培った前に出るスタイルを継続して、サシや柔道の一本背負いをかけていきたい」と意気込む。和田貴広監督(51)は「体重は90キロ台だが、機動力かつスタミナもある。投げ技、足技でポイントが取れると期待している」と語る。

日大・吉田アラシ(2年=花咲徳栄)

4月のアジア選手権フリースタイル92キロ級に出場し、日本男子最年少19歳3カ月でアジアチャンピオンに輝いた。大会前には、父のエスファンジャーニ・ジャボ氏からイラン選手の特徴を伝授された。試合を終えていた74キロ級の銀メダルの木下貴輪より「タックルが入った時の声援を背景に、地元選手は力を増す」とアドバイスを受けた。地元カザフスタン選手との決勝戦では、先にポイントを取ろうと攻めた。「タックルをかわしていたが、入られた時に声援とともにホールドが強くなってきた」と振り返った。

初出場のリーグ戦は「相手を崩して体力を削ってサシからタックルを決めたい。優勝を目指す」とにっこり。鈴木光監督(67)は「手の使い方がうまい。精神的に強くなってきた」と評する。


1部リーグ

◆メンバー表の見方左から階級、選手名、学年(白抜きは主将)、出身校。各階級3人までエントリー可。


対戦方式

◆1部リーグ4グループに分かれた予選リーグ(第1日)と順位決定リーグ(第2、3日)の2段階方式。A~Dの各グループで予選リーグ戦を行い、1位の4校が順位決定リーグ戦で1~4位を決め、以下同様に2位の4校で5~8位を、3位の4校で9~12位を、4位の4校で13~16位を決定する。

◆2部リーグ出場6チームによる総当たり戦。

◆1部2部入れ替え戦1部16位と2部1位、1部15位と2部2位が戦い、それぞれの勝ち校が次回1部、負け校が2部となる。


2部リーグ


大会概要

◆主催 東日本学生レスリング連盟

◆後援 東京都、日本レスリング協会

◆会期 2023年(令5)5月16日(火)~18日(木)

◆会場 駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場(東京都世田谷区駒沢公園1の1)

◆スタイル・形式 フリースタイル・団体戦

◆階級 57キロ級、61キロ級、65キロ級、70キロ級、74キロ級、86キロ級、125キロ級(全7階級)

◆ルール UWW世界レスリング連合ルール(一部学生連盟ルール適用)

◆審判 東日本学生レスリング連盟審判員および東日本学生レスリング連盟が指定した者

◆順位決定方法 (1)勝数が多いチーム(2)勝数が同じ場合勝ち点が高いチーム(3)勝ち点が同点の場合フォール数が多いチーム