アウトサイドヒッター(OH)の高橋藍(22)がチーム最多タイの13得点で、今大会初のストレート勝利に貢献した。1勝1敗で迎えた一戦へ「楽しみでしょうがない」と前向きな思いで臨んでいた。
1日のエジプト戦。セットカウント2-0から逆転を許し、手痛い敗戦を喫した。
今大会は9日間で7試合が組み込まれており、来夏のパリ五輪出場権が与えられるのは上位2カ国のみ。負けられない試合が続く中、「常にポジティブに考える性格」という男は前を向いていた。苦しい瞬間を乗り越えた先へ、思いを巡らせていた。
「考えすぎてもしょうがない。こういう状況だからこそ、自分は楽しんでやりたいなと思います。こういう状況を自分は強くすると思っている。日本代表にかかった壁、これを乗り越えた先に強い日本代表がいる。僕は楽しみでしょうがない。それを乗り越えるために、自分自身はポジティブに捉えていました」
2日に開かれたミーティングでも、「こういう状況だからこそ楽しんでやる」と伝えていた。
迎えたチュニジア戦。これまでの2試合と同様、2-0で第3セットへと入った。頭の中で「負けた試合」の記憶もよぎったが、同時に「3セット目を常に意識したり、最初の入りをすごく大事にしたりすることになって、そういうことでチーム力はすごく上がっていく」とポジティブさも失わなかった。
今大会初出場のリベロ小川智大(27)が好レシーブをみせ、高橋が先制点を決めた。過去2試合では第3セットのはじめに連続得点を奪えなかったが、この日は3連続得点で流れをグッと引き寄せた。
前向きな姿勢でつかんだ勝利。「最高の試合になりました!」と声を弾ませた高橋は、ただやみくもに前を向くのではなく、ミスにも目を向けながら、次へ進もうと努めている。
「ここでこうしておけばよかった、こうしておけばポイント取れたのかな、勝てたのかなというところは、たらればとして絶対ある。そういう経験が積み重なって、いざとなった時に、その経験が頭に思い浮かぶ。それが点数を取って、勝っていくことにつながっていく。まだまだ日本代表は若い選手も多いですし、ベテラン選手はなかなかいないので、そういう経験が少なかった分、こういう試合にもなったと思う。その経験を積めたことは、僕たちに非常にプラスに考えるといいのかなと思います」
重圧のかかる試合が続く中、1つ1つの経験を糧とする。その姿勢が苦しい時の支えとなると信じ、これからの4試合を戦っていく。