国際オリンピック委員会(IOC)は10日、北京で理事会を開き、ドーピング違反を告白して2000年シドニー五輪から失格となった陸上のマリオン・ジョーンズ元選手(米国)が出場したリレーでは、米国チームを失格とすることを決めた。米国女子の400メートルリレー銅、1600メートルリレー金の各メダルは、はく奪となる。

 IOCは、ジョーンズ元選手が(1)シドニー五輪期間中の薬物使用を認めている

 (2)両種目とも決勝に出場している-の2点を重視。米国オリンピック委員会(USOC)は先に「全選手が獲得メダルを返還するべきだ」との見解を示しているが、個々の選手が決定を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)などに提訴する可能性はある。

 一方で理事会は、同五輪で計5個のメダルを獲得したジョーンズ元選手の失格による順位繰り上げは、米国の栄養補助食品会社「バルコ」に絡む薬物スキャンダルの全容解明を待ち、結論を先送りした。100メートルでは、4年後のアテネ五輪前にドーピング違反で処分されたエカテリニ・サヌ選手(ギリシャ)が2位に続いていた。

 また北京五輪の期間中は、禁止リストに記載されたいかなる薬物を所持していても、同五輪から失格となる厳格なドーピング規定を導入した。