<高校ラグビー:桐蔭学園31-10常翔学園>◇準々決勝◇3日◇花園

 桐蔭学園(神奈川)が、常翔学園(大阪第1)との東西Aシード対決を制し、2年ぶりの準決勝進出を決めた。平均体重で約11キロ下回ったFWが当たり負けせず、自慢のBK陣を動かして5トライを奪う圧勝。5日の準決勝ではBシードの大阪朝鮮高(大阪第3)と対戦する。

 「西高東低」と言われる高校ラグビーで、桐蔭学園が東日本の意地を見せた。西のAシード常翔学園に、小さなFW陣が接点勝負を挑んで「相撲トレ」の成果を発揮。ラックからターンオーバーすると、素早く左右に展開して爆発力のあるBKが次々とゴールラインを越えた。

 平均体重が約11キロも違う相手FWと、体のぶつかり合いで対等に戦えたのは、相撲の立ち合いに似たトレーニング「10秒ファイト」のたまものだ。1対1で向き合い、お互いを10秒間押し続ける動作を1回30セット。ぶつかるバリエーションも3パターン練習している。密集で当たり負けずにボールを奪い、攻撃チャンスを拡大する感覚を養う。

 「試合で組み合うときは、10秒ファイトをイメージする」というのは、170センチ、77キロの小柄な右フランカー浜田主将。今回は「相手の顔を見たら、焦ってるのが分かった」と成果はばっちりだ。FWが頑張ると、あとは自慢のBK陣がのびのび加点してくれた。

 接点強化のきっかけは、一昨年の大みそかだった。3回戦を翌日に控え、登録外のメンバーで東福岡と手合わせした。大柄FWとぶつかって、筋力だけではない“押し”の重要性を実感、「いいけいこをつけてもらった」(藤原監督)。それから1年間、大きな相手に当たり負けしない練習に力を注いできた。

 「ゲームプラン通り」の作戦勝ちで、藤原監督はAシードの責任を果たしたと喜ぶ。大阪第1代表を撃破して次なる相手は大阪朝鮮高。浜田は「関東で残っているのはうちだけ。他校の思いを背負って頑張ります」と、たのもしく笑った。【鎌田良美】