<高校ラグビー:東福岡31-5桐蔭学園>◇決勝◇7日◇花園

 東福岡(福岡)が、2年ぶり2度目の頂点に駆け上った。決勝で桐蔭学園(神奈川)を31-5。プロップと思えぬ走力を誇る垣永真之介主将(3年)らが5トライを量産した。今大会5試合の総得点「274点」は、大会史上最多得点記録。選抜大会、国体に続く「同一年度3冠」は史上3校目。高校日本代表候補8人のタレント集団が、圧倒的な力を見せつけた。2度目の決勝進出で初優勝を狙った桐蔭学園は、再び準優勝に終わった。

 2年前の涙の初Vがうそのようだ。東福岡は全員、笑っていた。胴上げで宙に舞った谷崎監督も、プロップ垣永主将も「日本一のタイトルを取れて感無量です」と言って、笑った。うれし涙が無用なほど、圧倒的に勝ち上がった。

 前半15分、今大会5戦目で初めて同点にされた。桐蔭学園の素早い出足とポイントへの集散に押され気味だった。その流れを、垣永主将が変えた。10-5の前半28分、ラックサイドを突進し、SH香山のバックパスを受けてインゴールに飛び込んだ。「走れるプロップ」は「みんながつないでくれたから。みんながチームのために地味な仕事をやったから日本一になれた」と感謝した。

 5試合で43トライ、総得点274点で大会記録を塗り替えた。選抜、国体含め「年間3冠」を達成し、公式戦無敗の29連勝。「日本の中の外国チームになろう」が目標だった。タックルされても倒れない。FWがBKの、BKがFWの仕事もできる。15人一体の、まるでオールブラックスだ。谷崎監督も留学したニュージーランドやオーストラリアへ、ベンチ入り25人中9人が留学経験者。同監督は「楽しんでやってくれた。いいディフェンスをしてくれた」と振り返った。

 7人制日本代表候補のCTB布巻、U-17日本代表のロック水上、1年生離れしたアタックを見せるFB藤田ら、下級生にも好素材がそろう。花園連覇だけではなく、16年夏季五輪から正式種目となる7人制ラグビー、日本開催の19年W杯の主力としても期待がかかる。「連覇ではなく、1つ1つクリアしていきたい」と布巻。「最強軍団」の進撃は、来季も続きそうな気配だ。【前田泰子】