大型の台風19号が接近する中、13日に岩手県釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで予定されているラグビーワールドカップ(W杯)日本大会のB組最終戦、ナミビア-カナダの試合開催も危ぶまれている。東日本大震災からの復興を象徴する同会場での試合は、9月25日に行われたフィジー-ウルグアイとの2試合のみ。公共交通機関が軒並みストップする状況でも12日、開催を信じて準備が進められた。

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試合開催をひたすら信じて、ラグビーファンは釜石にやってきた。試合開始予定時刻(午後0時15分)の6時間前までに最終判断が下される予定。この日、東京から早朝の東北新幹線に乗車し、新花巻から釜石線を乗り継ぎ到着したカナダ代表プロップ・シアーズの母ローゼンマリーさんは「どうなるのかしら。何とか開催してくれれば」と不安な表情で天候回復を祈った。

ナミビア、カナダともにここまで3戦全敗で予選敗退が決まっている。しかし、消化試合のムードは一切ない。6大会連続のW杯で、いまだ勝ち星のないナミビアにとっては、歴史的勝利を懸けた試合となる。SHヤンチースは「この試合のために4年間必死に練習してきた。自分はこの大会を最後に引退する。勝って終わりたいし、目標を達成してナミビアに帰る」と勝利への強い執念をあらわにした。カナダチームが会場での公式練習を回避する中、雨でびしょぬれになりながら調整。ジョーンズ・アシスタントコーチは「どんなコンディションでも対応できる準備をしてきた。ナミビアのベストを見せてやる」と臨戦態勢を整えた。

カナダチームは鵜住居駅近くの東日本大震災の慰霊碑を訪れ追悼。その後行われた会見の最中には、避難勧告をスマホに知らせるアラート音が鳴り響いた。ジョーンズ・ヘッドコーチは「台風は我々にはコントロールできない。それについて考えるエネルギーと時間は無駄。とにかく準備をするだけだ」ときっぱり。アードロン主将も「我々にとっては重要な試合。勝利という結果を出すのが大事だ」と意気込みを口にした。

9月25日の第1戦では、釜石や岩手沿岸部の小中学生2500人が招待され両チームを応援。釜石市内のタクシー運転手の男性は「何でこんな時に台風が来るんだろう、せめて1日ずれてくれれば。4年に1度じゃなく一生に1度だから。子どもたちには見せてやりたいね」と未来のためにも開催を望んだ。【野上伸悟】