世界のトライゲッターも認める日本最速の男が、4試合連続トライを奪う。日本代表は18日、南アフリカ戦の登録メンバー23人を発表。ここまで4トライを奪っているWTB福岡堅樹(27=パナソニック)が、2戦連続で先発入りした。

大会前には元南アフリカ代表WTBでW杯通算最多トライのブライアン・ハバナ氏(36)から、大一番でトライを取る極意を伝授された。くしくもレジェンドの母国が相手となった一戦で、さらに世界を驚かす。

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メンバー発表会見での恒例となった一幕。福岡は左隣に座るCTB中村から「何トライしますか?」とマイクを向けられた。答えずにいると「2トライはして欲しい」と言われ、思わず苦笑いした。3試合連続中で、現在大会3位タイとなる4トライ。トライ王が狙える状況に「内側の選手が崩していい形でボールをつないでくれるから取れる。数はこだわらないけど、トライを取ることが自分の仕事」と謙遜しながらも、言葉に力を込めた。

日本が初めて足を踏み入れるW杯8強の舞台に、尊敬する世界的レジェンドからの金言を胸に臨む。大会前にW杯通算最多15トライのハバナ氏から、ここ一番の試合でトライを取り切る極意を伝え聞いていた。

ハバナ氏 大切なのは相手に「こんなところから出てきたのか」と思わせること。そのために、時には1歩下がって見ないといけない。チャンスがきたらそこに全力を注ぐことだ。

今大会では世界を驚かすトライを奪ってきた。途中出場のアイルランド戦ではチーム唯一のトライ。スコットランド戦では、相手選手の手からこぼれ落ちそうなボールをキャッチして独走トライを奪うなど、結果を出し続けている。

迎えた準々決勝は偶然にも、ハバナ氏の母国が相手だ。15年大会の大金星はスタンドで見守り、9月の壮行試合は、開始直後に右ふくらはぎを肉離れして無念の交代。苦い経験をへて、南アフリカ戦を迎える。「大舞台になればなるほど警戒されるし、スペースはない。だからこそ相手を崩すために、相手の予想しないスピードや動きだしを意識したい」と同氏の教えを胸に刻む。緑の壁を突破し、新たな歴史の扉を切り開く。【佐々木隆史】