<水泳世界選手権:競泳>◇2日◇イタリア・ローマ

 【ローマ3日=高田文太】競泳日本代表が「精鋭主義」で再建を図る。世界選手権最終種目となった2日の男子400メートルメドレーリレー決勝は、3分30秒91と予選で出した日本記録を上回れず7位に終わった。前回07年大会まで、リレー種目では5大会連続で表彰台に立ってきたが今大会はゼロ。日本記録の割合も北京五輪より減った。広がる世界との差に、日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(46)は、各所属に任せっきりだった指導態勢を変え、12年ロンドン五輪代表候補合宿による強化を宣言した。

 男子メドレーリレー決勝で7位に惨敗した直後、平井ヘッドコーチは険しい表情を見せた。大会最終日に行われるこの種目で、日本は世界選手権、五輪を通じて5大会連続でメダルを獲得してきた。「全体的な力が世界からじりじりと離されている。精鋭主義でいかないと。少数ではなく、全体のレベルを上げてみんなを精鋭にしなければ」。強化方針の転換を掲げるほど、危機感を募らせた。

 今大会は水着のハイテク化の影響もあり、北京五輪の25個を上回る、史上最多の世界新43個が生まれた。だが同コーチは「水着のせいにしてはいけない部分もある」と分析。世界新と比例するはずの日本記録は、タイ記録を含めても北京五輪の28個を下回る23個だった。今大会は五輪にはない50メートル種目があり、代表選手数も増えたが、メダルは5個から4個、決勝進出も20から14へと、ともに北京五輪より減った。北京五輪では、日本人が出場した1・7種目に1度は日本記録が誕生したが、今大会は3・3種目に1度の割合に低下した。

 これまで選手の強化は、各所属に任せていた。だが同コーチは「今まではすそ野を広げるような感じだったが、今後は頂点をさらに引き上げる」と力説。五輪代表候補合宿を多く行い、有望選手をさらに長期的に育てていく計画だ。自由形の選手だけを集めた代表候補合宿も予定している。互いに競い合って強くなった男子背泳ぎの入江と古賀のような、高いレベルでの切磋琢磨(せっさたくま)が理想だ。「頂点が高くなれば、全体のレベルも自然と上がる」と同コーチ。ロンドンまで3年間は、長いようで短い。