中地区同士の最終決戦―。アメリカンフットボールの社会人王者を決める「第23回日本社会人選手権

 ジャパンX(エックス)ボウル」が21日、東京ドームで行われる。初優勝を狙う富士通(中地区1位)と、12年ぶり2回目の王座を目指す鹿島(同2位)が対戦する。今シーズンから新たにファースト、セカンド、ファイナルの3ステージ制を導入。試合数増加の新制度を勝ち抜いた社会人王者は、来年1月3日のライスボウル(東京ドーム)で、学生王者の関大と日本一をかけて戦う。

 鹿島が成熟期を迎えた。ファイナルステージのパナソニック電工戦。スコアボードに浮かんだ「0-17」の文字。第2Q途中に絶望的ともいえる点差がついたが、選手が気持ちを切らすことはなかった。「ライン戦は互角でしたから、我慢していればチャンスはあると思っていました」と森清之HC。直後、フィールドに閃光(せんこう)が走った。WR前田が89 ヤード のキックオフリターンTD。鮮やかな反撃ののろしはチーム全員に勇気を与えた。

 第3Qにはパナソニック電工陣5 ヤード でDB山本がパスコースを読み切りインターセプトリターンTDで逆転。34―26でパナソニック電工を下し、ジャパンXボウルの切符を勝ち取った。

 昨年のジャパンXボウルでは、先制しながら力を出し切れず、パナソニック電工に逆転負け。この日もパナソニック電工QB高田に29回中23回のパスを通された。だが同時に3本のインターセプトを奪い相手攻撃を寸断。昨年の結果を研究し尽くした成果だった。

 DT西川は「最後までやりきれた」と振り返る。もともと高い評価を受けていたチームが今年は精神的にも成熟し、攻撃、守備、スペシャルチーム、どこからでも試合の流れを変えられる緻密(ちみつ)な準備と実践力が身についてきた。森HCも「1つずつ精度が上がってきている」と完成度に手応えをつかんだ。

 富士通にはファーストステージ最終戦で逆転負けしている。森HCは「うちもあの時よりも厳しい試合を通じて成長している」と自信を見せる。ジャパンXボウルでも、自慢のライン戦で優位に立てば、10月の雪辱、そして12年ぶりの栄冠が現実になる。