明桜(秋田)の最速140キロ左腕・和田幸毅投手(3年)が、社会人野球の住友金属鹿島(茨城)に内定したことが9月30日、分かった。今夏は準決勝で、優勝した本荘に敗れたが、3回戦の能代商戦で7回参考ながら完全試合を達成。プロも注目していた。中日落合博満監督(54)が中学校の大先輩にあたる逸材が、まずは社会人で腕を磨く。

 和田の名が知れ渡ったのは、今夏の県3回戦だ。14奪三振での7回完全試合。その快腕が、都市対抗出場12度の強豪でプレーすることになった。9月29日に内定の知らせを受け「1度、練習を見に行きましたがレベルが高い。1人1人が考えて野球をやっている」と気を引き締めた。

 昨年6月から指導した田中亮監督(37)は「自分のいたチームに教え子が入ることは、指導者として1つの目標だった」と語る。同監督は、明桜の前身・秋田経法大付から住友金属鹿島入りし13年間、プレー。今度は“後輩”になる和田に「スピード、パワー、正確性が社会人は違う。時間をかけて育ってほしい」とエールを送った。

 甲子園の夢が破れた後、「切り替えられず、夏休みは野球から離れた」という和田。だが「ずっと目指している」というプロが目標に残った。中学時代、学校に飾られた中日落合監督のバットや写真を見て、その思いを強めたという。

 今夏までプロのスカウトも注目したが「まだまだの選手」と田中監督。和田もそれをわきまえている。「スピードをもっと上げないと通用しない。上げきれるまで上げたい」。社会人で活躍してプロへ-。新たな夢を描いていた。【清水智彦】