<日米大学野球:日本8-7米国>◇第5戦◇16日◇神宮

 日本が延長11回8-7のサヨナラで米国を破り、2大会連続16度目の優勝を飾った。先発の早大・斎藤佑樹投手(3年=早実)は4回途中4失点(自責1)で降板したが、3点を追う9回に同点に追い付き、11回2死三塁から、九州国際大・加藤政義内野手(4年=東北)の遊撃へのゴロが相手失策を誘った。米国は最速101マイル(約163キロ)右腕、ゲリット・コール投手(1年)が先発し、157キロをマークしたが5回途中4失点でマウンドを降りた。最高殊勲選手には亜大・中原恵司外野手(4年=武蔵工大二)が輝いた。

 クールな斎藤が、ガッツポーズでベンチを飛び出した。延長11回裏2死三塁、加藤の放った打球が失策を誘った。ヒーローのもとに全員がダッシュを決める。9回に絶望的な3点差を追い付く劇的な展開で、2大会連続米国の壁を破った。榎本保監督(54=近大)は、選手の手で3度宙を舞った。「最後は気持ちの強いチームが勝つと言ったが、その通りやってくれた。30年ぶりに日本で負けなくて、ほっとしました」と笑顔がはじけた。

 敗れれば79年以来30年ぶりの日本開催負け越しだった。大一番の先発は斎藤。昨年ヤンキースからの1巡目指名を拒否したコールと投げ合った。この日の最速は斎藤の143キロに対して、コールは157キロ。「大学であろうと、日の丸を背負うのは、日本を背負うのと一緒」と、身長差18センチ、体重差22キロの右腕に立ち向かった。

 1回に2点を先制したが3回に守備陣が乱れた。1死一、二塁から打ち取った三塁前への打球を、加藤が一塁へ悪送球。2者がかえり、同点に追い付かれた。謝りに来た加藤を斎藤は笑顔で迎えた。その加藤がサヨナラの「一打」を放った。「決勝で4失点してしまい、ふがいないピッチングだったけど、最後は勝てて良かった」と全員で勝利を勝ち取った。

 4回には大会初被弾となるソロを浴びた。課題は自覚する。「真っすぐも変化球もすべて、来年の世界大会までにレベルアップしたい」と言った。来夏は日本で世界大学野球選手権が行われる。前回大会は決勝で米国に敗れた。喜びと悔しさも味わった2度目の日米野球。大学ラストイヤーは、この日と同じ神宮で、初の世界一に挑む。【前田祐輔】