<東都大学野球:立正大4-3東洋大>◇第1週初日◇6日◇神宮

 秋春連覇のキーマンはオレだ!

 東都大学野球春季リーグ戦(東京・神宮)が6日開幕し、立正大の中川祐輔投手(4年=白樺学園)が、東洋大との開幕戦で存在感を見せつけた。1点リードの8回1死一、二塁のピンチに3番手で登板し、1回2/3をピシャリと抑える好救援。4-3の逃げ切り勝利に貢献した。06年夏の甲子園出場右腕がフル回転で、昨秋に続くリーグ戦連覇の原動力になる。

 勝利の雄たけびが、そのままリーグ連覇への旗印になる。「ヨッシャー」。最後の打者を右飛に打ち取った中川は、両手で力強くガッツポーズし、喜びを体いっぱいに表現した。その気迫に引き寄せられるようにナインがマウンド上に駆け寄りハイタッチ。「どんなときでも行けと言われれば行く。1戦1戦きっちり抑えたい」と、気持ちを前面に出した。

 4-3で迎えた8回1死一、二塁。一打逆転のピンチに伊藤由紀夫監督(58)は、迷わず中川を3番手に指名した。中川は6番藤本を遊飛に打ち取ると、続く7番佐藤も二直に仕留めた。9回こそ連打と四死球で満塁を招いたが、内外角に投げ分ける絶妙な制球力で後続を封じ、初戦白星を導いた。伊藤監督は「良く投げた。安定している」とたたえた。

 泣いても笑っても大学最終年が始まった。中川は1年秋にベンチ入りしてから、中継ぎ役を担ってきた。最速137キロだが、ここまでリーグ戦29試合と場数を踏むことで、ストライクゾーンの四隅に投げ分ける投球術を磨いてきた。「ピンチの場面で使ってもらってきましたから。度胸では負けない」と自信を深めている。

 昨年6月、大学の講義にスキー・ジャンプの長野五輪金メダリスト船木和喜が、臨時講師としてやってきた。中川が「ジャンプのスタートとマウンド上での共通点は?」の質問をすると、返答は「無心でいること」。その言葉を胸に秘め、4年間、貪欲(どんよく)に野球道を追求してきたことも実を結んできている。

 この日、試合前の開会式で高校時代の同期、亜大の本間篤史外野手(4年=駒大苫小牧)と久々に対面した。お互いプロへの夢を胸に抱く。中川は「ボクたちの代は“白樺”世代ですよ。先発、中継ぎ、抑えと行けと言われればいつでもどこでも行く」。最強のコンビニ男が、ラストイヤーを力強く踏み出した。【松末守司】