<東京6大学野球:早大4-2東大>◇第4週初日◇1日◇神宮

 早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が、早実の先輩、ソフトバンク王貞治球団会長(69)が見守る前で今季初勝利を挙げた。最速146キロで、東大打線を9回5安打2失点(自責1)。昨秋の立大戦以来、先発7試合(登板8試合)ぶりの勝利で、リーグ通算26勝(10敗)とした。完投は昨春の早慶1回戦以来。

 見慣れたはずの光景が、たまらなく懐かしかった。9回、昨年5月30日以来の完投を目指してマウンドに向かった。勝利をつかむと応武監督とベンチで握手を交わした。白星は昨秋以来、203日ぶり。大学入学後、最も勝利から離れた。「長いですね」と、忘れかけた感覚をかみしめた。

 ソフトバンク王会長が神宮にいたことは「今日、球場に来て知りました」と言う。福岡から日帰りで駆け付けた大先輩の前で、2回、3回と東大・田中にいずれも直球を二塁打され、2点を先取された。24季連続最下位の相手に、4回まで毎回得点圏に走者を背負った。「1回から9回まで全然しっくり来ていない。(王会長は)後輩なので良く言ってくれていると思います」と反省ばかりだった。

 勝ち点を落とした前週の明大戦後からのどを痛め、この日も鼻声だった。東大戦前は3、4年生で焼き肉決起集会を行った。試合前日、毎試合行ってきた投球練習を回避した。昨秋まで多投したツーシームは127球中0球。何かを変えるために、試行錯誤した。

 打撃でも今季初安打、初打点。不満はあるが「(監督に交代と言われても)今日は無視してたかも。それぐらい投げたかった」と勝利を求めた。打って完投する、斎藤が目指す原点の野球。苦しんでつかんだ26勝目が、次へのステップになると信じている。【前田祐輔】