<東京6大学大学野球:早大14-0東大>◇第4週最終日◇2日◇神宮

 早大のドラフト候補右腕、福井優也投手(4年=済美)が8回無失点で今季初勝利を挙げた。東大戦に先発して、最速148キロで3安打9奪三振、無四球に抑えた。05年高校生ドラフトで巨人の4巡目指名を拒否して早大に進学。斎藤佑樹投手(4年=早実)大石達也投手(4年=福岡大大濠)とのトリプル指名へ、猛アピールを決めた。

 人生初という無四球完封まであと1回の場面で、福井は大石にマウンドを譲った。点差は14点。「投げたかったけど、大石が調子悪いし、チームのため」と受け入れた。課題のコントロールが安定し、3安打9奪三振で今季初勝利。「試合をつくることができた」と淡々と喜んだ。前週に直接対決で敗れた明大が連敗したことで、優勝のチャンスが広がる1勝になった。

 1位指名が確実な斎藤、大石に加え、ドラフト史上同じチームから3投手が1位指名を受けた前例はない。済美高ではセンバツ優勝など輝かしい実績を残し、1年浪人して早大に入学した。リーグ通算は7勝目(2敗)。1歳年下の2人を「ずっと追い掛けている」と表現する。

 今季から早大伝統のエースナンバー「11」を背負う。先発では2試合連続勝ち星がなかった。これまで相性が良くなかった正捕手、杉山翔大捕手(2年=東総工)とは寮の風呂場で交流。背中を流してもらいながら、配球などを話し合った。「フォームのことを考え過ぎて、バッターに向かっていく気持ちがなかった」と熱い気持ちを取り戻した。【前田祐輔】