<世界大学選手権:日本4-0韓国>◇30日◇予選リーグB組◇神宮

 初の世界一を目指す大学日本代表のエース、早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が、開幕戦勝利を飾った。韓国戦に先発し、最速146キロで6回5安打9奪三振無失点に抑えた。打撃陣は6回に慶大・伊藤隼太外野手(3年=中京大中京)が先制2ランを放ち、9回は早大・大石達也投手(4年=福岡大大濠)が3者三振で締め勝利した。

 慣れ親しんだ神宮に吹く、勝利の夜風が心地よかった。負けられない開幕戦で、相手は宿敵韓国。1回、先頭打者を直球、スライダー、チェンジアップで3球三振に切る。2死後、連打で一、二塁のピンチを招いたが、再びチェンジアップで空振り三振に切った。

 初の世界一を目指す、地元開催の世界選手権。期待を一身に背負う中、6回9奪三振で粘った。23日のオープン戦から投げ始めた新球チェンジアップを多投し、打倒日本に燃える韓国の打ち気をそらした。「アマチュアとして最後のジャパン。優勝したい。何としても勝ちたい気持ちが強かった」と大役を果たした。

 ネット裏には国内12球団に加えて、大リーグスカウトも12球団以上が集まった。巨人は清武球団代表ら総勢14人体制で視察した。ライバルキューバは、リナレス打撃コーチ(元中日)が現れた。大会直前には最速157キロ右腕、中大・沢村拓一投手(4年=佐野日大)が離脱。ベンチには沢村と、同じく代表辞退した東洋大・林崎のユニホームを飾った。その沢村がスタンドで見つめる中での快投。榎本保監督(55=近大)は「初戦は厳しい戦い。さすが斎藤。我慢強い。去年とは別人」とたたえた。

 試合前、神宮入りすると、大きな日の丸フラッグに全選手が名前を書き込んだ。グラブもリーグ戦のオレンジから日の丸カラーの赤に新調。初めて使うメッシュ素材で、酷暑の夏対策も万全だった。

 今春のリーグ戦は優勝をかけた早慶戦で敗れた。リーグ後は、群馬と長野の県境まで趣味の渓流釣りに出掛けた。家族と一緒にマイナスイオンを吸収して心身ともにリフレッシュ。6回を投げ終えた直後、慶大・伊藤に2ランが飛び出し勝ち投手が転がり込んだ。短期決戦には欠かせない「持ってる男」が、真夏の大一番で輝きを取り戻した。【前田祐輔】