巨人高橋監督の担当となって2年。日々の質疑応答の中で1番好きな切り返しがある。昨年6月。正捕手の小林が左肩を骨折したときのこと。復帰見込みを聞かれた指揮官は返した。

 「それは、小林の骨に聞いてよ」

 就任後、故障について具体的な言及を避けることが多い。戦略的な理由が主だ。人それぞれのスタンスがある。だが我々も職務として聞かなければならない。その問答の中で発せられた「骨に聞いてよ」。初めて体験する切り返しに、本当に面白く、報道陣一同が笑ったことを覚えている。

 今、巨人は宮崎で鍛錬の日々を過ごしている。打撃向上が最大テーマで打率2割6厘に終わった小林は、象徴的存在だ。課せられる練習で1日のスイング量は1000本を優に超える。足をつらせる選手も続出している。

 その中で小林は足をつらせることなく、練習を消化している。プロ入り後の故障は先に挙げた左肩骨折だけ。とにかく強い肉体は今秋キャンプでも証明されている。

 「あいつは痛い、かゆいを言わない」

 名門の正捕手として課題を指摘されることも多い小林に対して、高橋監督は問題点を認めた上で、長所に目を向ける。タフさ。レギュラーになくてはならない資質を、重労働の位置である扇の要で小林は備えている。

 頑健な肉体に魂は宿る。4年ぶりのリーグ優勝を目指す18年シーズン。小林の肉体に宿ろうとしている魂に、飛躍の理由を聞きたい。【巨人担当=広重竜太郎】