<高校野球大阪大会>◇23日◇3回戦

 桜宮が波乱を起こした。センバツ出場校の大阪桐蔭を5-2で撃破。大先輩の阪神矢野燿大捕手(41)から贈られた用具一式を身につけた主将の高品圭佑捕手(3年)が、エース和田将(3年)をがっちりリードし、優勝候補の一角を倒した。

 熱風吹き寄せるグラウンドで、最後に笑ったのは和田だった。9回裏1死一、二塁の守り。3点のリードがあっても、相手は大阪桐蔭。強豪の執念が熱波のように襲いかかった。「5回からヘロヘロでした。でも最後まで腕を振って投げて行こうと」。こん身の137球目で代打を三塁ゴロ併殺に。ヘッドスライディングの打者走者があげた土煙のむこう、一塁塁審のアウトの宣告を見て、和田は笑顔で息をついた。

 初回、自身の2ランで先手を取った。マウンドから高品を見るたびに、心の支えが目に入った。高品のプロテクター、マスク、レガースは阪神矢野から贈られた物。昨年12月15日、母校の記念式典に出席し、講演。努力こそが自身を支えるものと話してくれた。さらに後輩の助けにと捕手用具一式を寄贈してくれた。矢野アイテムをまとった高品は相手・大阪桐蔭のプロ注目捕手、江村と渡り合った。「悔いのないプレーをしたかった」と明かした。

 22日。ナインは福原和行監督(46)にしかりとばされた。午前9時から正午までの練習予定で、暑さに負けて集中力が切れた。「練習から気合を入れなくてどうする!」と監督は怒り、練習は中断。再開後、気迫と気合を込めて午後1時までナインは白球を追った。大暑のこの日、2時間31分の熱戦を耐え抜いた。5回終了後には、習慣のリラクセーションで頭の中を空っぽにした。6回に3点を追加しての快勝だった。

 一昨年の秋季近畿大会大阪府予選3位決定戦で敗れた大阪桐蔭にリベンジ。ここからも正念場が続く。「これからも1戦1戦」とエースはもう次を見ていた。【堀まどか】