<春季高校野球北海道大会:女満別13-2網走南ケ丘>◇14日◇北見地区2回戦◇北見市東陵公園

 女満別が今春センバツ以来初の公式戦に臨み、網走南ケ丘を6回コールドで下した。最速145キロ右腕のエース二階堂誠治(3年)が、4回まで打者12人から6三振を奪う完全ペース。5回に2安打で1点を許したが、甲子園で対戦した全国トップクラスの力を肌で感じ、直球、変化球を低めに集めて貫禄の投球を披露した。チームは選抜枠で28日開幕の全道大会(札幌円山)に出場する。

 北見市東陵公園のマウンドに立った二階堂は、これまでと違う感覚を覚えた。「甲子園って大きなところだったんだなあ」。センバツ1回戦の3月22日、九州学院(熊本)戦で経験した甲子園を思い浮かべた。すぐに気持ちを切り替え「思いっ切り楽しもう」と1球目を投じた。先頭打者を2球で追い込み、最後は空振り三振。7割程度の力でも直球は切れた。平田悠人捕手(3年)が構える低めに球を集め、4回までは打者12人を完璧に抑えた。

 5回の先頭打者に左中間二塁打を浴び、ノーヒットノーランは消えた。それでもこの回まで打者17人に51球を投げ、7奪三振で1失点。「久しぶりにワクワクしました。ノーヒットで完封しようとしたけど、甘かった」。1時間15分で初戦を突破したエースからは笑みがこぼれた。

 甲子園の反省を生かした。12安打6失点で敗れた九州学院戦では、高めの球をことごとく痛打された。平田捕手は「低めにきちっと投げられないと通用しない」と低めを意識してリード。序盤は直球主体だったが、これまであまり使わなかったカーブを効果的に使った。冬場に覚えたフォーク、シンカーも2、3球ずつ試した。要所では武器のスライダーが決まった。

 打撃も好調で、三塁打2本を放つなど3打数3安打4打点。唯一の反省点は、6回裏1死三塁で投手前のスクイズのグラブトスが乱れて得点を許した場面だ。鈴木収監督(43)は「あれはアウトにしないと」と厳しかった。平田も「やってもいい点でしたけど、間に合った。焦ったかな」と悔しがった。

 二階堂にとって、甲子園の戦いを生かす舞台が幕を開けた。チームは選抜枠での全道出場が既に決まっている。「(全道では)北海とやりたい。玉熊君に勝ちたい」。昨秋敗れたライバルとの対決に向け、目を輝かせた。【中尾猛】