<春季高校野球福島大会:聖光学院6-0光南>◇22日◇2回戦◇郡山市・開成山野球場

 福島では今春のセンバツに出場した聖光学院が光南を破り、県内の連勝を67に伸ばした。先発の岡野祐一郎投手(3年)が5安打完封、4番の園部聡一塁手(2年)が3安打3打点と投打の柱が活躍し、注目左腕佐藤勇(3年)を擁する難敵を一蹴した。

 聖光学院が力の違いを見せつけた。県NO・1左腕との呼び声が高い光南・佐藤勇を1回からとらえた。2死一塁で園部が中堅フェンス直撃の適時二塁打を放って先制。毎回走者を出して重圧をかけ、終わってみれば11安打6得点と打ち砕いた。斎藤智也監督(48)は「初戦にしては上出来」と笑顔を見せた。

 百戦錬磨の指導者をしても「2週間緊張していた」という初戦だった。支部予選を免除され、センバツ2回戦で横浜に1-7と完敗してから54日ぶりの公式戦。今月はじめの北海道遠征などで実戦は積んだが「(連勝に)終止符を打つ日になるかもしれない。慎重にいった」(斎藤監督)と、完封勝ちしたセンバツ1回戦の鳥羽(京都)戦とまったく同じオーダーで臨んだ。

 甲子園での敗戦がチームを変えた。斎藤監督は「1度壊して出直す」と言った。4月は控え選手の底上げを図る意味も込め、レギュラー組は練習試合に出場せず基礎トレーニングに集中した。園部は「練習でも1球1球を無駄にしないようになった」。野球に取り組む姿勢から改め、速球に振り負けないパワーを身に付けた。

 完封したエース岡野も終始冷静だった。走者を背負っても、けん制で2度アウトを奪った。8回2死満塁のピンチには打者のタイミングを外し、投ゴロに仕留めて無失点。「甲子園では流れにのまれてしまった。(チームを)負けさせないのが1番いい投手」と、7失点した横浜戦の苦い経験からたくましさを増した。

 県内の連勝は67に伸びた。斎藤監督は「まだまだ上に向かって突き進んでいくしかない」。園部も「ここで負けるわけにはいかなかった」と気を引き締めた。福島の王者は全国で勝ち抜くために進化を続ける。【鹿野雄太】