<高校野球岐阜国体:桐光学園4-3新潟明訓>◇2日◇準々決勝◇岐阜・長良川球場

 奪三振記録で夏の甲子園を沸かせた桐光学園(神奈川)・松井裕樹投手(2年)が、全国大会初優勝に王手をかけた。新潟明訓戦で0-3の3回無死一塁から救援登板し、7回3安打無失点。15奪三振の力投で流れを引き寄せ、逆転を呼び込んだ。今日3日は準決勝で春夏甲子園連覇の大阪桐蔭と対戦。雨天順延で決勝が消滅したため、準決勝に勝てば優勝となる。

 12試合ぶりに救援した松井が燃えていた。完投した1回戦から中1日。0-3の3回無死一塁で登板すると「悪い流れを断ち切ろう」と2者連続三振に盗塁死で切り抜けた。4回は先頭打者の打球を坂本憲吾中堅手(1年)が目測を誤り、三塁打とした。後輩を救うため「狙って」3者連続三振。「ピンチになると気持ちが100%になる。いい球が放れた」。最速は144キロをマークした。

 疲労の残る体がほぐれると、宝刀スライダーで三振を積み上げた。6~8回には5者連続三振。味方の反撃を待った。8回に坂本の3ランで逆転すると、9回は3三振で締めた。甲子園準々決勝以来の15三振。奪三振率は19・3に達した。

 来春センバツは絶望的だが、来夏へ進化を続ける。クイックモーションで2盗塁死を得た。甲子園の常総学院戦では3盗塁を許し、機動力に今夏最多の5失点していた。課題克服へ「間を変えたり、少しずつ取り組んでいる」と説明した。

 準決勝は春夏王者の大阪桐蔭が相手だ。大会中、相手エース藤浪に変化球を投げる際の感覚などを尋ねるなど「自分より全然すごい投手。吸収できるところを勉強したい」。大会前日、織田信長も城主を務めた岐阜城を訪れた左腕。初の「天下取り」へ、あと1勝だ。【斎藤直樹】