第85回選抜高校野球(22日開幕、甲子園)に出場する常葉学園菊川(静岡)が9日、菊川市の同校野球部グラウンドで解禁後初の対外試合を行い、浜松工に1-3と完敗した。フルスイング打線が6回2死まで完全に抑えられ、唯一の得点も相手の失策によるもの。結局3安打と沈黙した。

 常葉菊川ナインが、現実を実感させられた。練習で打てたとしても実戦は勝手が違う。相手エースのツーシームやフォークに翻弄(ほんろう)され、凡打の山を築く。2点を追う6回2死、9番今坂僚介内野手(2年)が右前打を放ち、ようやくチーム初出塁。二盗を決め反撃のチャンスを作ったが、1番登地慶輔外野手(2年)が空振り三振を喫した。

 昨年11月24日の練習試合で同じ投手から先制2ランを放ち5-2の快勝に導いた登地だったが、この日は3打数無安打で途中交代。「(相手投手は)前より良かった。自分ももっと上げないと」と反省しきり。手薄な投手陣をカバーすべき打線が沈黙し、主将の松木大輔捕手(2年)は3打数1安打1四球ながら「まだまだ練習が足りないとわかった」と、現状を受け止めた。

 守備でもリズムを作れなかった。3回には遠藤康平内野手(2年)、大西優輝内野手(2年)、松木という中心選手がそろって飛球を落とした。同校グラウンド特有の強風が吹き難しい面もあったが、8回の1得点もその風があってのもの。途中出場の花堂力斗外野手(2年)が2死二塁から打ち上げた飛球を相手が落としチーム初得点。慣れているはずのホームで、ちぐはぐな船出となってしまった。

 それでも、森下知幸監督(51)は「いいピッチャーが完投してくれてありがたい。すごく勉強になった」と、前向きに捉えた。ナインも「甲子園に行けばこのくらいのピッチャーが普通」と気が引き締まった様子。今日はプロ注目の聖隷クリストファー・鈴木翔太投手(2年)と対戦する。全国でもトップクラスの投球を体感できるのは、県勢の援護ともいえる。しっかりと甲子園への糧にしたいところだ。【石原正二郎】