<高校野球春季東海大会:常葉学園菊川11-4いなべ総合学園>◇25日◇準決勝◇三重・四日市球場

 常葉学園菊川(静岡1位)が、7番花堂力斗外野手(3年)の4打数3安打5打点の活躍などで、いなべ総合学園(三重1位)を下し、初優勝に王手をかけた。今日26日に同球場で行われる決勝は、02年の沼津学園(現飛龍)-浜松商(11-10で沼津学園優勝)以来の静岡県勢対決となった。

 常葉菊川・花堂が、高校野球のラストチャンスに奮い立った。1点を追う4回2死二塁。打席へ向かう前、森下知幸監督(52)から「これが最後の打席」と告げられた。現在メンバー外の2年生が夏に向けて合流すれば、20人の枠からほぼ外れる立場だ。この日の第1打席が消極的な空振り三振だったため、出番が消えかけていた。花堂は「初球から振るしかない」とスイング。バットは空を切ったが、諦めない。5球目を右翼へ運ぶ適時二塁打で、試合を振り出しに戻した。

 崖っぷちでとどまると、猛アピールを始めた。6回2死から1点を勝ち越し、なおも2死二塁で右翼への適時打。さらに、7回には2点適時二塁打、9回には押し出し四球で1打点を追加した。終わってみれば、ともに公式戦初の3安打5打点だ。好機を演出した5番大西優輝内野手(3年)は「むちゃくちゃすごい」と喜び、6番榊原隆登内野手(3年)も「花堂が打ってくれると思い、楽だった」と感謝。森下監督も「今日は下位(打線)の日だね」と目を細めた。

 センバツまでは記録員などで、ベンチの盛り上げ役だった。7番を背負った県大会から、緊張で明るさが薄れた。今大会前にも森下監督から全員の前で「控えの方がいいんじゃないのか」と気迫を求められていた。この日の活躍で決勝のスタメンを守り自信を深めた花堂は「しぶといですよ」。夏に1歩でも近づけるように、決勝では集大成をぶつける。【石原正二郎】