<高校野球秋季岩手大会:一関学院7-6盛岡大付>◇29日◇準々決勝◇金ケ崎町野球場

 一関学院が夏優勝の盛岡大付をサヨナラで下し、ベスト4入りした。9回2死二塁から、9番千葉大哉内野手(2年)が左中間へ二塁打を運んだ。

 9番打者が夏王者を砕いた。一関学院の千葉が内角ベルト付近の球をたたく。この日3本目の安打は左中間を破るサヨナラ二塁打。「手応えありました。うれしかった」と大喜びした。地区予選の打順6番から降格。鬱憤(うっぷん)を晴らす一打になった。

 地区予選初戦で大東に敗れた。フライを打ち上げ、敗戦のショックもあって調子を落とした。7日の代表決定戦で県大会出場を決めて、自分を見つめ直した。「野手の間を抜ける強い打球が持ち味」(千葉)と、毎日の500スイングに加え、夜10時半までティー打撃に汗を流した。9番での起用に「上位につなぐ仕事を全うしようと思った」。2回の第1打席は二塁内野安打で出塁し、3点目のホームを踏んだ。3回の第2打席は強い打球で左前へ運んだ。復調のきっかけをつかんでいた。

 捕手で打力もある攻守の要、高橋柊也主将(2年)が右肘靱帯(じんたい)を痛めて試合出場の見通しが立っていない。ベストメンバーではないが、春の県大会準決勝で敗れた盛岡大付に雪辱した。沼田尚志監督(55)は「千葉はいいところで打ってくれた。チーム一丸になってやってくれた」と激戦を制した選手をたたえた。

 「(高橋が)いなくても、勝てることを証明したい」と、千葉は準決勝以降をにらむ。シード校だった夏は4回戦で敗退。先輩たちの無念も背負い、東北大会出場から岩手制覇へと突き進む。【久野朗】