<練習試合:山形中央0-0市川>◇16日◇兵庫・姫路市営豊富球場

 パーフェクト達成を自信に、エースが聖地に乗り込む。山形中央・横山雄哉投手(2年)が市川(兵庫)との練習試合で、走者を1人も許さない完ぺきな投球を披露。試合は9回0-0で引き分けたが、センバツ(甲子園)初日の21日に行われる日大三(東京)戦に向け、順調さをアピールした。

 最後の打者を三振で締めても、横山は表情1つ変えなかった。内角の直球でのけぞらせ、低めのスライダーを振らせる投球を貫き13奪三振。4度のフルカウントも動じず、抜群の制球力で四球も与えない。3年前のセンバツ出場校相手に完ぺきな内容も、白い歯などこぼさない。「笑っている場合じゃない。甲子園で笑えるように」と引き締めた。

 「結果」よりも課題を乗り越えた「内容」の方が、横山にとっては大きな収穫だった。2日前に、初戦の相手・日大三をビデオで研究。そこで強力打線を打ち取る策がひらめいた。決め球のスライダーの軌道だ。「いくら良い変化球でも、甘い軌道に入ったら簡単に長打を打たれる」。この日はワンバウンド気味の球で相手を誘い、三振の山を築いた。

 調整方法も自ら考えた。13日の抽選会後、横山は庄司秀幸監督(33)に、21日の初戦までのすべての練習メニューを相談。庄司監督は「自分でやれる子なので任せました」と全幅の信頼を置く。15日はノースローで肩を休ませ、この日は完投。横山は「残りの練習試合(2試合)は短いイニングを投げます」と描いた青写真通りに仕上げる。

 直球は、これまでの2キロ上回る自己最速の135キロを計測した。「冬場の下半身強化の成果が出ている。本当に調子が上がってきた」と横山。自信満々のエースの目には、聖地のマウンドしか映っていない。【湯浅知彦】