大谷翔平投手(29)は出場しなかったが、ドジャースはエンゼルスのキャンプ地(米アリゾナ州テンピ)でオープン戦を戦った。週末だったことも重なり、チケットは売り切れ。マイク・トラウト外野手(32)やドジャースのムーキー・ベッツ外野手(31)らMVP経験者が出場し、満員9649人で埋まった球場はにぎわっていた。

カリフォルニア州ロサンゼルス在住のケビン・ルエダさん(25)は、大谷も気に入っていたという「シティ・コネクト」の「OHTANI 17」と刻まれたレプリカユニホームを着用し、試合を観戦していた。だが、移籍した大谷は不在。エ軍ファンの1人として今、何を思っているのだろうか。

「エンゼルスにいて欲しかったから、やっぱり悲しいかな。同じロサンゼルスのライバル球団に移籍してしまったし、それは残念だけど、僕は選手として彼に多くの愛があるんだ」

長年、エ軍を応援しているが、二刀流を続ける大谷の姿を見て、とりこになったという。ルエダさんにとって最も印象に残っているプレーは、トラウトも衝撃を受けたという昨年7月27日の敵地でのタイガース戦。大谷がダブルヘッダーの第1試合で完封し、第2試合で2打席連続アーチを放った伝説の試合は、記憶に深く刻まれている。

「打って、投げて、100年ぶりのことを見られて、本当に素晴らしいことだった。それで、大ファンになった。長くいてくれたのはうれしいことだけど、契約額の問題もあるし、何より彼は勝って頂点に立ちたい。それは、責められない」

10年7億ドル(約1015億円)の史上最高額で強豪球団へ移籍を決断した大谷。ワールドシリーズ制覇を目指す戦いが始まるが、エンゼルスファンに支えられたことも忘れていない。

「彼を思うとうれしいし、(契約額の価値は)彼にふさわしい。ライバルだからドジャースには負けて欲しいけど、彼を選手として、応援し続けるよ」

この日の試合で、「17 OHTANI」のユニホームで大半を占めたのは、やはりドジャースの青いレプリカユニホーム。エンゼルスカラーは激減したのが現実だが、ルエダさんの言葉が、ファンの気持ちを代弁しているようだった。

【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)

エンゼルス時代の大谷のレプリカユニホームを着て試合を観戦していたケビン・ルエダさん
エンゼルス時代の大谷のレプリカユニホームを着て試合を観戦していたケビン・ルエダさん