メジャーの野手組も続々とキャンプインし、今季からマーリンズに移籍したイチロー外野手(41)も、日米通算24回目のキャンプを迎えました。

 キャンプイン前日の24日(日本時間25日)、フロリダ州ジュピターの球団施設に到着しましたが、その際に着ていたオリジナルのTシャツが、大きな話題を集めました。というのも、過去3年ほど、イチローはキャンプ初日にオリジナルのTシャツを着るようになり、そのイラストの意味や解釈が注目されるようになっていたからです。

 今回は、1月末に日本で行われた入団会見の際、ファンへのメッセージを求められた際、「これからも応援してくださいとは、言いません」と答えた言葉が、キーワードでした。Tシャツの胸部分のイラストで「おうえんしてくださいなんて~いわないよ、じぇったい」とおどけると、背中には四角張ったゴシック文字で「応援よろしくお願いします」。本音をジョークに、建前を生真面目にすり変える、ハイレベルな笑いのテクニックで、周囲を笑わせてくれました。

 この軽妙なジョークに、日本のマスコミは一斉に飛びつきました。スポーツ紙などだけでなく、国営放送のNHKまでが、全国ニュースで報道。これだけの反響はさすがのイチローも、予想していなかったようで、翌日、日本の知人からメールで知られて驚きは隠せなかったようです。「ビックリですよ。よっぽど話題がなかったんですか?」と笑いながらも、悪い気はしなかったようです。

 常にクールに見えるイチローですが、素顔はお笑いやジョーク好きで、しかもいたずらっ子的な雰囲気も残しています。ヤンキース時代、昨季限りで引退したジーターに「突っ込み」を入れることができたのも、イチローだけでした。

 今回のTシャツは、もちろんイチロー自身の企画でした。本人によると、「僕のアイデアなしには成立しないですから。字体をどうするとか、いろいろと考えながら、いろいろと大変なんです」とのこと。それでも、報道陣が入手希望の意志を伝えると、「えっ? 欲しいの? そういう声を聞くと、また色気が出て来ますね」と、早くも「次回作」への意欲を見せています。

 ということは、来年も当然? 現役続行-。

 Tシャツはともかく、プレーへの「色気」は、依然として変わっていないようです。