米アリゾナ州ピオリアで続けていた日本ハムのキャンプは2月後半、沖縄・名護に練習場所が移ります。2月1日に一斉キャンプインする日本球団にすれば、今後は中盤に入る感覚なのですが、14日(日本時間15日)の時点でメジャー球団はどこもキャンプインしていません。米国の場合、各球団がそれぞれ独自に集合日、キャンプインの日時を決めるのですが、今年の場合、ジャイアンツなどのバッテリー組が18日(同19日)が「先陣」。最も遅いツインズの野手組は、27日(同28日)に全体練習を開始します。

 キャンプインが遅く、2月終盤からオープン戦がスタートすることもあり、日程だけを見ると、「メジャーのキャンプは短い」と思われるかもしれません。ところが、実際の感覚は正反対です。メジャーに移籍した、ほぼほとんどの日本人選手は「メジャーのキャンプは長い」との感想を漏らします。というのも、全国各地を巡る日本のオープン戦と違い、米国のオープン戦は2月下旬から3月末(チームによっては4月上旬)までキャンプ地近郊で行われるため、1カ月半前後、同じ場所に滞在することになるからです。

 確かに、日本に比べると全体練習の時間が少なく、キャンプイン後、早ければ1週間程度で実戦が始まるため、「短い」と言われるのかもしれません。ただ、裏を返せば、キャンプインまでに体調を仕上げていない選手は、オープン戦で結果を残せず、次々にカットされてしまいます。マイナー行きになる若手の有望選手はともかく、生き残りをかけたベテラン選手は「戦力外」または「解雇」されるケースも日常茶飯事です。だからこそ、早朝7時過ぎから球場入りする選手もいれば、試合後も居残って体の手入れをする選手もいます。チームとして総合力をアップさせることも大事ですが、それ以前に個人の戦いが大前提にあります。それほどシビアで、気が抜けないのが、メジャーのスプリング・トレーニングなのです。

 かつて日本では、「外国人選手は練習しない」と言われた時期もありました。ただ、それは特定のケースであって、本物のメジャーリーガーの実像とは異なるような気がします。たとえ傑出した才能があっても、独自で練習を持続できない選手は、その多くが短命で終わります。一昨年、禁止薬物使用で出場停止処分を受けたとはいえ、今年41歳になるヤンキース・Aロッドの練習量は、誰もが認めるところです。

 日米のキャンプ日程や練習方法が異なっても、本当の正解はないのかもしれません。ただ、たゆまぬ日々の鍛錬がグラウンドでのパフォーマンスに直結することは、日米ともに変わらないような気がします。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)