成績不振のため、マイナーで調整していたマリナーズ青木宣親外野手が7月20日、メジャーの舞台に戻ってきました。ヤクルト時代、2度の年間200安打を達成したほか、WBCなどの国際舞台、さらにワールドシリーズの経験。そんな実力者が6月24日以来、傘下3Aタコマでプレーしてきたわけですが、復帰した青木は、意外にも? スッキリ、サバサバしていました。

 「そんなに長くは感じなかったですし、集中してプレーできました。もっと落ち込むかとも思いましたが、環境が変わることで何かが変わるんじゃないか、って期待もありました。集中していたから、苦しいとは思わなかったですね」。

 マ軍へ移籍した今季は、不動のリードオフマンとして期待されていました。ところが、開幕後の4月に打率2割5厘とつまずいたのをはじめ、その後もなかなか調子が上がらない日々が続きました。とりわけこれまで得意にしていた左腕投手相手に打率1割7分7厘(前半戦終了時)と低迷。6月中旬以降は、下位打線に回り、最終的にはマイナー降格を通告されました。

 もちろん、かなりのショックを受けたことは想像に難くありません。球場の雰囲気、観客数、施設など、明らかにメジャーと違う部分は存在します。移動にしても、チャーター機ではなく、民間機を利用します。それでも、青木の思考はあくまでも前向きでした。

 「3Aって意外に盛り上がってるなって思いましたし、新鮮でした。やっぱり同じ野球。楽しみながらやってました」。

 だからといって、お気楽にノンビリとプレーしていたはずもありません。

 「自分の中で打てなかった原因を突き詰めていきました」。

 青木自身、細かい技術論を語ることはしませんが、打撃フォームの微調整を反復。「いろいろと試しながら」も、16試合で打率3割6分9厘と結果を残し、メジャーからの昇格コールにつなげました。

 「経験したくてしたわけじゃないですが、いつか自分の野球人生を振り返った時に、こんなこともあったなと思えるようなことだと思います」。

 復帰戦での1安打に続き、その後も2安打、3安打と復調。悔しさや苦しさを感じながらも、常に前向きな姿勢を忘れず、自分と向き合ってきた青木の表情は、どことなく精悍(せいかん)さを増したような気がします。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)