ヤンキースの快速リリーバー、デリン・ベタンセス投手が、来春のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でドミニカ共和国の代表としてプレーする意志を明かしました。米メディアによると、ニューヨーク生まれのベタンセスは、米国からも打診があったようですが、自らのルーツとも言える両親の祖国を選んだようです。

 次回で4回目の開催となるWBCへの注目度は、米国内でも着実に変わってきています。過去3回の大会前は、メディアで代表候補の話題が取り上げられることはほとんどなかったのですが、今回は早い時期から各選手への「意思確認」が報じられるようになりました。というのも、今回ばかりは米国も本腰を入れないわけにはいきません。過去3大会はホスト国にもかかわらず、優勝を逃してきただけでなく、最高成績は準決勝止まり。大会の権威と盛り上がりを、最も阻害してきた負い目があるようにも映ります。

 米国代表を率いるのは、1997年にマーリンズを世界一に導いた名将ジム・リーランド監督。最優秀監督賞3回の実績を持つ「オールド・スクール・タイプ」の熱血漢です。戦術、戦略面だけでなく、人望の厚い人格者としても知られています。

 現段階で米国代表のロースターは予想の範囲内ですが、すでに今季のサイ・ヤング賞マックス・シャーザー投手(ナショナルズ)、快速右腕クリス・アーチャー投手(レイズ)のほか、2年連続2冠のノーラン・アレナド内野手(ロッキーズ)、15年MVPのジョシュ・ドナルドソン内野手らの出場が確実視されています。さらに、今季MVPのクリス・ブライアント内野手(カブス)、サイ・ヤング賞3回の左腕クレイトン・カーショー投手らそうそうたる実力者の名前も挙がっています。

 米国だけでなく、前回覇者のドミニカ共和国、準優勝のプエルトリコ、ベネズエラもメジャーのトップクラスをそろえる見込みで、過去3大会以上に激しい戦いが予想されます。かつてドミニカ共和国代表の主軸として活躍したカルロス・ペーニャ氏(現野球解説者)は、「WBCは自国の誇りをかけた戦い。将来はサッカーのワールドカップにようになってほしい」と話しています。

 そのためにも、やはり米国の躍進が欠かせません。世界一奪還を目指す日本にとって、「眠れるライオン」は眠ったままの方がいいのかもしれませんが、スター選手が並ぶ米国代表との「ガチンコ勝負」を見たいファンも、きっと多いのではないでしょうか。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)