シーズン開幕前、不可解な“医学的問題”でメディアやファンを騒がせたメッツのエース、マット・ハービー投手が不調に苦しんでおり、以前から抱かれていた危惧が現実になってしまったと周囲を嘆かせている。

 昨年自己最高の13勝を挙げ、エースとしての地位を確立したハービーだが、今シーズン開幕前、チームが“ベースボールに関係しない医学的問題”があると発表して一時問題視された。ただこの時は膀胱に大きな血餅、血が凝固した塊があっただけと判明し、問題は解消されたはずだった。

 が、4月3日の初先発以降ここまで10ゲームに先発し、3勝7敗、防御率6・08という成績に沈んでいる。ここ3ゲームはいずれも5失点以上を喫し、3連敗中だ。19日のナショナルズ戦では9失点で3回持たずに交代し、ホームのファンからブーイングを受ける始末である。

 この不調にやっぱり、と落胆する人が多いのはハービーが2013年に右肘の靱帯断裂により、靱帯を再建するトミー・ジョン手術を受けているためだ。14年を全休し、昨年華麗に復活を遂げたが、再度の故障への不安は常に言われ続けていたのである。開幕前の騒ぎが大きくなったのもそのためだった。

 実際、今回の不調はトミー・ジョン手術後の経過が関係しているのでは、という指摘も多い。ニューヨークの地元紙デイリー・ニューズは25日付けの記事で、やはりトミー・ジョン手術を受けて復活したナショナルズのスティーブン・ストラスバーグと比較している。ストラスバーグが手術から復帰して2シーズン後の14年に自己最多の215イニング、242奪三振を挙げたのと対照的だというのだ。

 そしてストラスバーグとハービーの大きな違いとして復帰後最初のシーズンのイニング数を挙げ、ハービーは30イニング以上多かったことを指摘している。実際のところ、この投球イニング数が好不調がどれほど関係しているか、定かではない。ただアメリカでは投球イニング数を重視する傾向が強いだけに説得力をもって見られているようだ。

 今後のハービーについてチームは次の先発を飛ばさないと発表しているが、マイナー降格や先発からはずすべきといった声も出ている。果たしてここからハービーは今シーズン中に復調することができるだろうか。