ブライス・ハーパーがひげを剃った。たったそれだけのことが議論を生んでいる。

 ナショナルズのハーパー外野手といえばMLBを代表する強打者だ。2010年のドラフトでナショナルズから全体1位指名を受け、5年990万ドルの契約を結び入団。12年にメジャーデビューを果たすと、いきなり22本塁打で新人王を獲得した。その後も活躍を続け、15年には42本塁打で本塁打王のみならずナ・リーグMVPも受賞している。ここまでオールスター選出5回という押しも押されもせぬスター選手である。

 そして豊かで濃いあご髭はハーパーのトレードマークともいえる存在だった。が、現地18日、ヤンキースとのダブルヘッダーを前に地元ナショナルズ・パークに現れたハーパーの顔から髭が消えていたのである。

 これに対してツイッターなどで沸き起こったのは、ある意志表示ではないかという議論だった。それはヤンキースへの移籍である。今シーズン、ハーパーは1年2162万ドルという契約でプレーしている。シーズンが終了するとFAとなり、今オフの目玉選手になる見込みなのだ。ハーパーとヤンキースが相思相愛なのでは、とこれまで何度も報じられてきた経緯もある。

 ただヤンキースへの入団には一つの障害があった。髭である。ヤンキースは所属する選手が髭を蓄えることを禁止していることは有名だ。これまでも自慢の髭を落としてピンストライプのユニフォームに袖を通した有名選手は多い。

 つまりハーパーがヤンキース戦前に髭を剃ったのは、ヤンキースのルールに従うつもりがある、入団を望んでいる、と受け止めたメディア関係者やファンが多かったのである。

 もちろんナショナルズに所属している今そんなアピールをする必要はない。シーズン後、契約が成立してから剃れば十分である。そうした冷静な視点から、19本塁打を放っているものの打率が2割1分3厘と低迷している状況を打破するため気分転換に剃ったのでは、という意見もある。

 ハーパー自身はこれまでのところこの件についてコメントしていないので真相は不明だ。ただ髭を剃っただけでこれほど騒がれるのだから、本当にスター選手なのだというしかない。