MLBプレーオフはアメリカン、ナショナルとも地区シリーズが決し、現地10日からリーグ優勝決定シリーズが始まる。進出を決めた4チームと進めなかった4チームを選手総年俸額という観点から見るとなかなか興味深い。

 まずアメリカン・リーグで進出した青木宣親外野手が所属するロイヤルズは9203万4345ドルでMLB19位だ。対するオリオールズは1億740万6623ドルで15位である。

 一方、ナショナル・リーグはカージナルスが1億1102万360ドルで13位、ジャイアンツが1億3470万4437ドルで7位という組み合わせなのだ。

 ア・リーグは選手年俸総額という点において中位同士、ナ・リーグもそれに近い対戦となっているのである。

 さらに地区シリーズで見てみるとロイヤルズは1億5569万2000ドルで6位のエンゼルスを、オリオールズは1億6222万8527ドルで5位のタイガースを、ジャイアンツは1億3470万4437ドルで9位のナショナルズを、カージナルスに至っては2億3529万5219ドルで堂々1位のドジャースを破っての進出となった。ジャイアンツ以外、より多く選手年俸を支払っているチームを打ち負かしているのである。

 ちなみに2位のヤンキース(2億381万2506ドル)、3位フィリース(1億8005万2723ドル)、4位レッドソックス(1億6222万8527ドル)に至ってはプレーオフに進出できていない。

 映画にもなった「マネーボール」以降、いかにうまく年俸総額を抑えつつ、強いチームを作るかということが一般からも注目されるようになっている。年俸の高い選手ばかりを揃える金満チームに対する風あたりが強くなっているのだ。その点において今回のプレーオフはやりくりがうまいチームが揃ったという印象を受ける。

 特に1億ドルに達しない年俸総額でありながら、ワイルドカード、地区シリーズで3回も延長を制する粘り強さを見せ、負けなしで進出しているロイヤルズは特筆に値する存在といえるだろう。積極的な盗塁策といい、勢いが感じられる。チーム・マネジメントという観点からも、このまま一挙にワールドシリーズへと駆け上がるかどうか注目したい。