阪神から海外FA権を行使してMLB入りを目指している鳥谷敬内野手。移籍への動きがなかなか見えてこなかったが、ブルージェイズから二塁手として正式オファーがあったことが報じられている。

 その鳥谷に先立つ形で注目されたのが韓国プロ野球からやはりMLB移籍を目指している姜正浩遊撃手についてだ。韓国プロ野球の選手の場合、日本と同じくポスティング・システムが採用されており、22日にパイレーツが30日間の独占交渉権を獲得したことが明らかにされたのである。

 ニューヨーク・ポストなどによれば落札額は500万2015ドルの模様だ。これはイチロー外野手がマリナーズに移籍した際の1312万5000ドルやツインズが西岡剛内野手のために支払った532万ドル9000ドルを下回る額である。

 姜は今シーズン、打率3割5分6厘、40本塁打、117打点という好成績を記録した。にもかかわらずこの程度の額での落札となったのである。それはメディアを中心に韓国プロ野球への評価が厳しいことが背景にあるようだ。

 ニューヨーク・ポストは姜を紹介するにあたり、韓国プロ野球は打撃有利で、成績は誇張されていると強調。さらに姜の守備はメジャーでは通用しないとし、ヤンキースには必要ない、という論陣を張っていたほどである。同時に落札額が500万ドル程度になるだろうこと、姜の年俸が今シーズン38万ドルで、MLBでは500から600万ドルを狙っているなどと事前に伝えていた。

 落札額についてはほぼ同紙の記事通りだったわけだが、落札については短くその事実を伝えるに留まっている。それだけ厳しい考えなのだ。

 翻って鳥谷についてである。韓国プロ野球ほどではないにしろ、これまでの経緯から日本人の内野手についてもその評価はなかなか厳しいものがあるのは事実だ。

 ましてや姜が27歳であるのに対し、鳥谷は33歳と年齢も高い。果たしてどれだけ活躍できるかと疑問符をつける向きが多いのも致し方ないかもしれない。実際ブルージェイズの正式オファーも本来の遊撃手ではなく、二塁手として、というのも守備についての評価の現れといえそうだ。

 姜の落札が、鳥谷の移籍交渉にどんな影響を与えるのかも含めて、今後の経緯を見守っていきたい。