ヤンキース田中将大投手(26)が、故障者リスト(DL)入り後初めての実戦で上々の投球を披露した。傘下3Aスクラントンの一員としてダーラム戦に先発し、3回を打者11人に41球を投げ2安打無四球、2奪三振で無失点。速球も今季メジャーでの登板時に近い最速92マイル(約148キロ)を計測し、メジャー復帰へ向け順調な回復ぶりをアピールした。

 28日ぶりの実戦マウンドでも、ブランクを感じさせなかった。右手首の腱(けん)炎と右前腕部の張りでDL入り後初のリハビリ登板。田中は「そこまで違和感はなかった。普通にすっと入っていけました」と、1球目は91マイル(約146キロ)のフォーシーム(直球)を投じた。1番が簡単に打ち上げて1球で1アウトを奪うなど、立ち上がりから速球系で強気に押した。2回にはメジャーで443試合に出場している強打者アレンシビアも1球で二飛に。「フォーシームでポップフライに結構打ち取っていたので、真っすぐでも押せていたのかなと。真っすぐしか待っていないようなバッターに対して、そういう投球ができたのはよかった」と好感触を得た。

 球種はチェンジアップを除いてすべてを投げ、ツーシームなどのムービング系はよく動き、変化球にもキレがあった。オープン戦以来のバッテリーを組んだロマイン捕手も「かなり良かった。スプリットはよく落ちたし、スライダーは左打者に対してバックドアを使って、両サイドを突けた。すべての球種で文句なしだった」と絶賛した。

 当初予定から3回、または45球がメドだった。41球中で25球のストライク率も及第点。故障箇所については「そこは全然、大丈夫でした」と問題なしを強調し、メジャーレベルの球質かと問われると「大丈夫だと思います。そこに関しては」と自信を見せた。

 今後のリハビリ予定は決まっていないが、あと1~2回はマイナーでのリハビリ登板を挟み、段階的に球数を増やす。90球程度まで投げられる状態に仕上げて復帰するのが慣例とされている。マイナーで初の公式戦登板を終え、今後の調整試合数を問われると「さあ、それもどうなのか分からないです」と答えたが、メジャー復帰は時間の問題とばかりに、余裕の笑みがこぼれていた。【水次祥子】

 ◆田中の今後の登板予想 あと1回マイナー登板を挟む場合、中5日と考えると次回は27日、敵地での3Aポータケット戦が濃厚。同じく中5日で、6月2日本拠地マリナーズ戦でのメジャー復帰が可能となる。リハビリ登板が2回の場合は、6月2日もしくは3日に3Aポータケット戦に先発し、同9日本拠地ナショナルズ戦でメジャーに戻る可能性が高い。