ヤンキース田中将大投手(26)がレッドソックス戦に中4日で先発し、11勝目(6敗)を挙げた。6回1/3を6安打4失点。味方打線の大量援護もあり、余力十分の92球で白星を手にした。チームは首位ブルージェイズとのゲーム差を1・5のまま守った。

 エースの田中でも集中力を維持するのは簡単ではなかった。ヤンキース打線が3回までに大量11点を奪い、しかも、対するレッドソックスはプレーオフ争いとは無縁の地区最下位。「競った試合をしてるという気持ちを持って投げることは大事。かといって、キチキチの攻め方をすれば、長くなって守りもだらけてしまいますしね」。緊迫した接戦とは、押し引きのさじ加減が異なるのも当然だった。

 0封する必要などない。勝ち試合の流れを滞らせないことが田中に求められた役割だった。テンポ良くストライクを先行させ、走者をためないことを最優先させた。各イニングの投球数はすべて10球台。「そんなに力を入れて投げる場面もなかった」と、ほとんどギアをトップに入れることはなかった。中4日できっちり勝利を手にし、レ軍戦は今季3戦3勝。ジラルディ監督に通算800勝も贈り「勝つことが一番」と喜んだ。

 一方で、投球内容には不満も残った。7回1死から初の四球を与えた場面で交代。後続が打たれて失点は4となり、クオリティースタート(6回以上で自責点3以内)を6試合ぶりに逃した。「今年は特に内容が良くないんで…。周りの期待にまったく応えられてないと思ってるので、より良いもの、良いところを見せられるようにと、毎回思っています」。優勝争いの佳境を迎えても、結果だけでなく、内容も求める。田中の姿勢は、エースならではだった。【四竈衛】