ヤンキース田中将大投手が防御率のタイトルを争う最中にシーズンを終えることになった。

 プレーオフ進出の可能性が消滅した球団は田中を先発させない方針を固めた。非情とも思える決断には、選手個人の成績よりも故障のリスク回避を優先するメジャーの事情がある。

 右前腕部の張りで9月26日の先発を回避したが、症状は軽く「投げることはできた」という程度だった。本人はチームの状況にかかわらず、あと1/3回に迫った目標の200投球回達成へ意欲を示していた。

 一方でフロントは田中の体の状態を最優先事項に挙げており、キャッシュマン・ゼネラルマネジャー(GM)はタイトルを争う事情を「考慮しない」と断言していた。球団にとっては入団時に7年総額1億5500万ドル(当時約161億円)を投資した大事な戦力。今季、エースとして活躍した評価が変わることはなく、消化試合に投げさせる意味を見いだせなかった。