ナ・リーグ優勝決定シリーズ第2戦が行われ、ドジャースが1-0でカブスに競り勝ち、対戦成績を1勝1敗とした。エース左腕クレイトン・カーショー投手(28)が、5回途中まで完全投球を続け、7回2安打無失点と快投。クローザーのケンリー・ジャンセン投手(29)との完封リレーで逃げ切った。なお、第3戦は18日(同19日)、ロサンゼルスで行われる。

 まさに鉄腕エースの真骨頂だった。緊急救援した13日(同14日)以来、中2日で先発したカーショーが、敵地シカゴのファンを沈黙させた。5回裏2死までパーフェクト投球を続け、7回2安打無失点。「今日は絶対に勝たなきゃいけない試合だったからね」。三塁を踏ませない、圧巻のゼロ封でド軍に流れを引き寄せた。

 ポストシーズン突入後は、目まぐるしい日々が続いた。地区シリーズでは第1戦に続き、王手をかけられた第4戦に中3日で先発。さらに第5戦の9回には、中1日で救援し、セーブを挙げた。この日は、10日間で4試合目の登板。「確かに、過去7~8日間は少し違っていた。でも、感覚としては、いつもと変わらなかったよ」。13日の7球救援を、先発登板間の「ブルペン投球」と調整の一環として意識付け、通常のルーティンを崩さず、この日の先発に備えた。

 唯一のピンチだった5回の2死一、二塁では、長打のある8番ヘイワードを151キロの速球で三邪飛。力のある速球を低めに集めて100年以上の歴史を誇る敵地リグリーフィールドのファンを静まりかえらせた。ロバーツ監督は「地上最強の投手だ」と最大級の賛辞を贈った。続投の判断についても「自信に満ちた目と言葉が全てだった」と信頼を寄せた。

 28歳にしてサイ・ヤング賞3回に輝き、年俸は約30億円。今やメジャー最高左腕となったが、今季は不本意なシーズンだった。開幕以来、6月までに11勝を挙げながら、腰痛のため、7月から2カ月間、戦列を離脱した。9月の復帰後、最多でも91球しか投げなかったのも、すべてはポストシーズンに万全の状態で臨むためだった。オフには、毎年のように妻エレン夫人と全米中をはじめ、アフリカまで足を伸ばし、布教活動を務める敬虔(けいけん)なクリスチャン。実力だけでなく、人格的にも信頼される存在が、大舞台でド軍を先導した。

 敵地で1勝1敗として、第3戦は本拠地ロサンゼルスが舞台。「間違いなく、いい感じだと思うよ」。大車輪として活躍するエース左腕は、余力十分の84球を涼しげに振り返った。【四竈衛】

 ◆クレイトン・カーショー 米球界を代表する先発左腕。06年ドラフト1巡目(全体7位)でドジャース入団。11年に投手3冠を達成し4年連続で最優秀防御率獲得。14年は21勝3敗、防御率1・77、239三振でMVP受賞。現役では唯一のサイ・ヤング賞3度。14年1月に当時投手史上最高の7年総額2億1500万ドル(約215億円)で契約延長。元同僚の広島黒田とは大の仲良し。