レンジャーズのダルビッシュ有投手(30)が13日(日本時間14日)、敵地でのエンゼルス戦に先発。今季初勝利(1敗)を挙げた。1、2回に四球を出したが、以降は修正し、7回を5安打無失点、10奪三振、2四球の快投。チームを8-3の勝利に導いた。

 メジャーを代表する大砲プホルスにもバットを振らせなかった。6回裏無死一塁。カウント2-2から通称「フロントドア」と呼ばれる、内角から真ん中へ入るスライダーを投げた。腰が引けたプホルスはあえなく見逃し。この日10個目の三振で、大リーグ通算29度目の2桁奪三振をマークした。

 もともとスライダーは、14年にベースボール・アメリカ誌がシャーザー(ナショナルズ)らを抑えて「メジャー最高」と認定したダルビッシュの伝家の宝刀。これが自在に操れてこそ、トミー・ジョン手術からの完全復活といえる。序盤はキレがありすぎて制球に苦労したが「曲がりがすごく大きかったので狙う位置を変えた」(ダルビッシュ)と工夫。10三振のうち半分をスライダーで奪った。

 地元のダラス・モーニング・ニューズ電子版も「ダルビッシュの代名詞が戻ってきた」と報道。終盤に3ランを放った相手の二塁エスピノザは「彼はどんどんストライクを投げてカウントを良くして、最後は素晴らしい球を決めてくる」と脱帽だった。

 メジャー通算29度目の2桁奪三振は、往年の名投手ノーラン・ライアンの球団記録(34度)にあと5度に迫るもの。すでに96球を投げていた7回に続投を志願する姿も、大エースだったライアンとダブる。今季初勝利について「僕のキャリアで初めてなわけではないので、特に気にしていない」という言葉には貫禄があふれていた。

 ◆ダルビッシュの2桁奪三振 メジャー103回の先発で、通算29度目の2桁奪三振をマーク。大リーグでの日本人最多2桁奪三振は野茂英雄の31度だが、野茂は318回の先発で達成しており、ダルビッシュの方がペースは速い。またノーラン・ライアンはレンジャーズで129回の先発で34度の2桁三振を奪っており、ダルビッシュも同様のペースになっている。