日本ハム大谷翔平投手(23)の大リーグ移籍のために、異例の「大谷ルール」が誕生した。日本野球機構(NPB)、米大リーグ機構(MLB)、大リーグ選手会による新ポスティングシステム交渉が22日、合意した。新制度は18年からで、今オフの大谷には旧協定通りの譲渡金2000万ドル(約23億円)が採用される。交渉期間は従来の30日間ではなく、12月2日(米国時間1日)から23日(同22日)の21日間になり、MLB30球団には二刀流起用などを訴えるプレゼンテーション期間が設けられた。

◆新ポスティング制度を含む日米選手協定合意の骨子(原文まま)

 <1>17年オフのリリース料は、上限2000万ドル(約23億円)ルールとする。手続きとしては、13年12月13日付の旧協定を、18年10月31日まで延長する。

 <2>17年オフは、大谷翔平投手(日本ハム)と牧田和久投手(西武)のポスティングに限り、旧協定でのポスティングを認める。日本ハムによる大谷選手のポスティング申請は、米国時間の12月1日(日本時間12月2日)。大谷選手とMLB球団との交渉期間は21日間(米国時間12月22日=日本時間12月23日まで)とする。西武による牧田投手のポスティング申請は、米国時間の12月1日以降、牧田選手とMLB球団との交渉期間は、30日間とする。

 <3>MLB30球団は、日本ハムによるポスティング申請以前に、大谷選手に対し、文書によるプレゼンテーションを行うことができる。ただし契約交渉することは禁止。

 <4>新制度は、18年11月1日から21年10月31日の3年契約。どちらか一方から改正の申し入れをしない限り、1年ずつ延長される。

 <5>主な新制度のポイント

 (1)リリース料 

 (a)メジャー契約したNPBプロ野球選手(注1)のリリース料は、トータル・ギャランティード・バリュー(TGV=注2)に次の比率を乗じた金額とする。

 TGV2500万ドル(約28億8000万円)まで…20%

 TGV2500万ドル以上5000万ドル(約57億5000万円)まで…17・5%

 TGV5000万ドル以上…15%

 (注1)NPBプロ野球選手の定義=25歳以上かつNPBで6年以上の選手。

 (注2)TGVの定義=次の1、2、3の総額(1)支払確定年数の全年俸(2)契約金(3)バイアウト額

 (例)4年6000万ドル(約69億円)のTGV契約。

 内訳 契約金800万ドル(約9億2000万円)

 19年年俸 900万ドル(約10億4000万円)

 20年年俸 1000万ドル(約11億5000万円)

 21年年俸 1300万ドル(約15億円)

 22年年俸 1500万ドル(約17億3000万円)

 23年年俸(1800万ドル)のバイアウト額として500万ドル(約5億7500万円)

 この例では、NPB球団に、500万ドル(2500万ドル×20%)+437万5000ドル(2500万ドル×17・5%)+150万ドル(1000万ドル×15%)=1087万5000ドル(約12億5000万円)がリリース料として支払われる。

 (b)追加リリース料は、当初のメジャー契約のもとで、選手がのちに獲得したインセンティブ・ボーナスの15%。

 (c)支払スケジュール(1)リリース料…50%14日後、25%12カ月後、25%18カ月後(2)追加リリース料…選手が獲得したオフごとに支払われる。

 (2)ポスティング申請期間は、毎年11月1日~12月5日。選手とMLB球団との交渉期間は従来通り30日間。

 (3)マイナー契約の場合のリリース料は、契約金の25%。