<ドジャース3-0ブレーブス>◇7日(日本時間8日)◇ドジャースタジアム

 【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)=中島正好】ドジャース黒田博樹投手(33)が1安打無四球「準完全試合」の快投をみせた。ブレーブス戦に先発し、150キロ超の速さで沈むシュートで7回までパーフェクト。8回先頭に右翼線二塁打を浴びて、メジャー史上18人目、日本人初となる完全試合は逃したが、本拠地では6月6日カブス戦に続く連続完封で、チームを4月6日以来の首位に押し上げた。後半戦の「エース」を予感させる快投だ。

 打たれた黒田にドジャースタジアムの観衆が総立ちで拍手を送った。8回、70球目の87マイル(約140キロ)スライダーが内角高めに浮き、4番テシェエラに右翼線を破られた。この日唯一の安打-。マウンドで悔しそうに首をひねった。黒田は「期待に応えたかったけど、そんなに甘くはなかったです」と話したが、ファンは十分に快投を評価していた。

 真価を試される一戦だった。ブレーブスは4月に敗れた相手。さらに7人の左打者を並べてきた。黒田が被本塁打9本のうち7本を左打者に打たれているデータも当然知っていた。

 だが、150キロを超える速さで左打者の外角低めへ沈むシュートに手も足も出なかった。黒田は「外のボールを使わないと抑えられない。うまくはまった」と言った。打率4割に挑戦する3番ジョーンズは初回の二ゴロ、4回の空振り三振とも94マイル(約151キロ)のシュートで切った。ことごとく体勢を崩して当てることさえままならない。4回まで6三振。「広いと感じた」とストライクゾーンを把握した中盤以降は、一転して内角攻めで詰まらせて打ち取った。8回を終えてわずか81球。余力を残す9回のウイニングショットは、最速96マイル(約155キロ)速球だった。

 完全試合は「5回が終わってから」と意識し始めた。球場も1死ごとに歓声の質が変わった。ブレーブスは7回、先頭ブランコがバント安打を試みるも、三塁ドウィットが素手で捕球、送球して間一髪アウト。バックも盛り上げただけに、後6アウトに迫った8回に1球だけ高めに入ったのは惜しかった。「あそこで打たれなくても、後で打たれていたんじゃないですか。そう思わないと悔しくて」と思わず本心がのぞいた。ヤンキース時代にコーンやウェルズの完全試合に立ち会ってきたトーリ監督は「完全試合ではなくてもパーフェクトな内容だ。精密機械のようだ」と絶賛した。

 ドジャースはダイヤモンドバックスを捕らえ、首位に並んだ。黒田は胸を張った。「完全試合もすごいけど、1安打もすごいんじゃないかな。勝てずに期待に応えられなくて悔しかったし、そういう意味でアピールできたのは大きい。前回(完封)は壊れてもいいといって壊れてしまったけど、マウンドでは常にそういう気持ちでいたい」。故障者リスト(DL)から復帰後は16回無失点。抜群のコントロールと高速シュートの復活で、後半戦に向けメジャーの並み居る打者をなで切りにする予感だ。