【タンパ(米フロリダ州)15日(日本時間16日)=千葉修宏】左ひざ痛からの復活を目指すヤンキース松井秀喜外野手(34)が、実戦復帰初戦で本塁打を放った。1Aタンパの一員として、6月22日レッズ戦以来となる実戦に臨み、右中間本塁打をマークした。課題の走塁も無難にこなし「今日の感じだったら(メジャーでプレー)できると思います」と自ら大リーグ復帰へゴーサインを出した。

 美しい当たりだった。フィリーズ傘下1Aクリアウオーターとのダブルヘッダー第1試合、3打席目。カウント2-3から、内角スライダーに体を泳がされながらも、バットですくうように右中間へ運んだ。「甘いスライダーですけど、良いバッティングでしたよ」と言葉も弾んだ。

 実戦復帰となったこの日、「2番DH」として、いきなり2試合に出場。左飛、二ゴロ、本塁打、四球、遊失、左飛の計5打数1安打1四球だった。心配されたのは本塁打を打った打撃より、ひざに負荷のかかる走塁。だがニーブレスをつけずにプレーしたにもかかわらず、極度の腫れや痛みなどは出なかった。

 遊失で一塁に生きた時の走りはほとんどジョギング。一塁から味方の安打で三塁へ向かった時も全速力ではない。それでも試合後は「自分の中で大丈夫だろうという範囲のトップスピードで走った。今日の感じなら(メジャーでプレー)できると思います」と、初戦にしてメジャー復帰への手応えを口にした。

 この日、チームは不振の外野カブレラの3A降格を決定。DH候補だったセクソンに戦力外を通告した。若手の外野ガードナー、内野のユーティリティーであるランソムを昇格させたが、一時的な色合いが強い。チーム側がゴーサインを出せば、2人のうちいずれかと松井を入れ替える。

 ヤ軍はこの日、中地区最下位のロイヤルズに敗れ、首位レイズとは10・5ゲーム差。ワイルドカード争いもレッドソックスと7ゲーム差でほぼ“終戦状態”だ。ワイルドカードの可能性もなくなれば、球団は再び松井に手術勧告する見込みで、昇格できるタイムリミットは迫っている。まず16日の1A戦後、マイナー調整を続けるか、メジャー合流か判断が下される。