【ピオリア(米アリゾナ州)3日(日本時間4日未明)=木崎英夫通信員】イチローが開幕アウト!

 体調不良を訴えていたマリナーズ・イチロー外野手(35)が2日(同3日)のオープン戦のパドレス戦を欠場した。これでオープン戦3試合欠場し、複数の医師から緊急精密検査を受けた結果、球団から「胃の潰瘍(かいよう)性出血」と発表され、メジャー初の故障者リスト入りが決定した。張本勲氏(野球評論家)が持つ日本プロ野球最多安打の3085本にあと2本と迫ったイチローが緊急事態に陥った。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で激闘の末に日本を世界一に導いた代償は大きかった。イチローの体調不良の原因は「胃潰瘍(かいよう)による出血」だった。3日(日本時間4日未明)、ズレンシックGMが明かした。現在は出血はおさまっているようだが、疲労かストレスの要因が考えられる。しばらくは安静が必要で、これでメジャー初の故障者リスト入りが決定した。

 春季キャンプ打ち上げの2日(同3日)からチームに合流することはなかった。前日には球団施設に姿を見せロッカーを整理するなど体調の回復を思わせたが、実は深刻度を増していた。パドレス戦を欠場したばかりか、練習にも参加できない状態だった。

 WBCから3月26日にマリナーズに合流したが、3月30日のブルワーズ戦で突然、めまいを訴え途中交代。その後はアリゾナ州近郊にある自宅で静養していた。試合前にはワカマツ監督は「まだ疲労感があるようなので、異常がないかどうか医者にみてもらうことにした。詳しいことは午後遅くには分かると思うよ」と説明していた。

 しかし、球団から説明はなく、現地時間の午後7時25分に広報から報道陣にメールで緊急リリースが流れた。その文書によると、イチローはチームドクターのストーレイ医師を含めた複数の医師から、緊急精密検査を受けていた。複数の医師が検査し、検査結果をズレンシックGMが対応するというのは、まさに異例の事態だった。

 病状が深刻なのは、これまでの周囲の反応でも明らかだった。イチローがピオリアのキャンプ施設にきた1日を含め、自宅静養に努める間に病状が伝えられることはなく、グリフィン・チーフトレーナー以下、トレーナー陣はかん口令が敷かれたかのように沈黙を守っていた。

 最終実戦調整となる3日からのネバダ州ラスベガスでのロッキーズ戦の遠征も不参加。最低でも開幕から8試合は欠場する。張本勲氏が持つ日本プロ野球最多安打記録3085本にあと2本。大リーグ新記録の9年連続200安打もかかる記録イヤーのスタートで、まさかのリタイア。これまで何度も苦境を乗り越えてきたイチローが、ついにダウンした。