【ロングビーチ(米カリフォルニア州)18日(日本時間19日)=四竈衛】米独立リーグ、ゴールデンベースボールリーグ(GBL)のロングビーチ・アーマダと契約した伊良部秀輝投手(40)が、現役復帰を前に記者会見を行った。アーマダのGM、監督らも同席し、6月5日(同6日)のデビュー戦(米アリゾナ州ユマ)、13日の本拠地初登板と先発ローテーション入りすることを発表。04年以来の復帰登板へ、伊良部は「楽しんで投げてチームに貢献したい」と、抱負を口にした。

 背番号「14」の真新しいユニホームと帽子を手にすると、伊良部の顔は自然とほころんだ。「40歳になりましたし、契約してもらえるとは思いませんでした。マウンドに立てる喜びを感じて投げたいです」。阪神時代の04年以来となる現役復帰。年を重ねた分、気負いはなくても、わいてくるうれしさは、隠しきれなかった。

 思わぬ親切心が復帰のきっかけだった。今年1月、阪神の後輩で現役続行を目指す伊代野(08年退団)の米国自主トレで指導を依頼された。その際、ブルペンで手本を示すうちに、持病の右ヒザ痛を感じない投げ方を発見。軸足のかかとを上げず、左足も高く上げない新フォームが完成した。「この4年間は、衝動的に野球をやろうと思ってもできなかった。今回は本当に偶然。自分で自分の体にびっくりしてます」。その後、2Aの選手相手に打撃投手を務めるうちに調整が進んだ。90マイル(約144キロ)を超える速球が復活し、2Aのコーチから「復帰したら」と声を掛けられ、復帰案が具体化した。

 現在は、週5回の練習をこなしながら復帰戦へ向けてスタンバイ。19日にチームの練習に合流した後は遠征に帯同せず、地元で調整を続ける予定だ。「試合になれば全力でいく。90マイル以上出れば、試合をつくれると思います」。メジャーで球宴に3回出場した経験を持つゲーリー・テンプルトン監督(53)も「若い選手の手本になってほしい」と話すなど、周囲の期待も大きい。

 日米通算106勝の底力が復活すればメジャー復帰の可能性も出てくるが、伊良部は「あまり自分に期待をかけすぎると、できなかった時にショックが大きいですからね」とサラリかわした。まばゆいばかりのフラッシュを浴びる40歳右腕の、にこやかな表情が印象的だった。