【テンピ(米アリゾナ州)26日(日本時間27日)=大塚仁】エンゼルス松井秀喜外野手(35)が今度は「あわや自爆」のアーチを放った。キャンプ4日目、フリー打撃では44スイング中2本の柵越えを放った。そのうちの1本は右翼フェンス後方の駐車場に飛び込み、松井自身の車に当たりそうになった。初日にはハンターの車にニアミスしており、調子を上げる松井のフリー打撃は恐るべき「凶器」となってきた。

 伸びていく打球はもう少しで惨事を引き起こすところだった。キャンプ4日目のフリー打撃。時間も終盤にさしかかった42スイング目だった。松井のマスコットバットからはじかれた打球は、右翼フェンスを越えて防護ネットの下を通過して駐車場で弾んだ。推定飛距離125メートル。ボールが転々とした場所の近くにはニューヨークから運んできた松井の愛車が止まっていた。キャンプ初日にハンターの車に当てそうになった松井の打球は、今度は自らを襲うところだった。

 この日は44スイング中2本の柵越えをマークした。それでも松井は「まだまだ、そんなに変化はない」とサラリ。スイングの強度は8割程度でキャンプ初日から変わっていないという。まだ手ごたえを口にできるほどの上昇度ではないが、軽めのスイングで打球を飛ばす状態の良さが表れていた。

 新天地でのシーズンを前にした松井は自らへの期待と自信に満ちあふれている。通常、開幕前に目標の数字を決めることはない。だがこのオフは、取材などで尋ねられる「今年の抱負」に具体的な数字を挙げることが多くなった。本塁打の数はタイミングによって36本や40本とまちまち。だがメジャー自己最多である04年の31本や、時に昨季ア・リーグトップの39本を上回る数字を挙げているのは自信の表れにほかならない。

 この日のフリー打撃を終え、トス打撃を行うために駐車場を通ってケージに向かった松井はカーロン通訳にこう説明した。「あそこに止めると(打球が当たって)危ないからこっちに止めたんだ」。だが実際は、自身の想像を超える打球が8割程度の力で飛んでいた。守備練習も前日に続いて他の選手と同じメニューをすべてこなすなど順調そのもの。この調子をキープできれば、秋には自身の想像を超える結果が待っているかもしれない。