<オリオールズ12-9レッドソックス>◇1日(日本時間2日)◇オリオールパーク

 【ボルティモア(米メリーランド州=四竈衛、佐藤直子通信員】首、背中痛で出遅れていたレッドソックス松坂大輔投手(29)が、今季メジャー初登板でKOされた。

 7カ月のブランクが突然、思わぬ落とし穴として現れた。3点リードで迎えた5回裏1死。徐々にエンジンが温まり始めていたが、一気に崩れた。ウィギントンに内角速球を左翼席へ運ばれたのを機に、張り詰めていた緊張感にすき間が生じた。「非常にもったいなかった。その後引きずるということはなかったが、そう思われても仕方ない結果になってしまいました」。不運な当たりのゴロなどでピンチが広がり、最後は3番ウィータースに逆転3ラン。今季初登板は、95球、5回途中7安打7失点KOという形で終わった。

 最速95マイル(約153キロ)を計時した速球、曲がり過ぎるほど変化したスライダーをはじめ変化球とも、球のキレは上々だった。3回までに4奪三振。故障に苦しんだ昨季とは違う、力強さを随所で披露した。

 だが、打者との対戦感覚は、微妙に鈍っていた。「打たれた後に思ったんですが、別の対処の仕方があったと思います」。カウント0-2からウィギントンに投げた速球、マーカーキスに初球の速球を同点打された場面にしても防げる失点だった。マイナーでは抑えられても、メジャー相手に不用意な球は通用しない。さらに、マウンド上では捕手マルティネスのサインに首を振り、1球ごとに打席を外す打者に快調なテンポを乱されることもあった。昨年10月2日以来の空白は、球速やキレなどに表れない形で影響を及ぼした。

 球の質は良くても、結果的に敗戦投手となった。悔いも反省も残った。だが、うなだれることなく言った。「次回の登板までに修正しないと、同じ結果を招いてしまう可能性がある。もったいないポイントを挙げたらキリがない。最初の試合から欲張り過ぎましたね」。次回登板は6日のエンゼルス戦。会見の最後に残した言葉が、感じた手応えだったに違いない。