<レッドソックス6-2インディアンス>◇5日(日本時間6日)◇フェンウェイパーク

 【ボストン(米マサチューセッツ州)=佐藤直子通信員】レッドソックス松坂大輔投手(29)がインディアンス戦で8勝目を挙げ、日本人メジャーでは歴代3位の長谷川滋利(マリナーズ)と並ぶ通算45勝目をマークした。速球がさえて5安打1失点に抑え、6月7日インディアンス戦以来となる8回まで投げた。首位ヤンキースとは6ゲーム差あるが、最後まで逆転優勝はあきらめない。

 力強い速球でインディアンス打線を圧倒した。立ち上がりから変化球は一切なし。2死を奪った後、3番秋信守にカウント1-3から外角低め速球をセンター最深部にたたき込まれた。それでもひるむことはなかった。続くラポータの初球も速球。14球目に初めてスライダーを投げたが、時には捕手のサインに首を振りながら、最速95マイル(約153キロ)の速球をテンポよく投げ続けた。

 相手打線に勢いのあるフォーシームを徹底的に見せたからこそ生きたのが、キレのあるツーシームだ。前回7月31日のタイガース戦では、4失点を喫しながらも「(ツーシームを)もう少し使ってもいいかな、という手応えを感じた」という。「走者を出した時に効果的に使えたと思います」と自負するように、先頭打者に出塁を許した2、3、5回は、いずれもツーシームで次打者を打ち取り、流れを断ち切ることに成功した。

 6つの三振を奪い、1イニング平均13・6球、合計109球で今季最長に並ぶ8回を投げ終えると、ベンチへの帰り際に捕手マルティネスからミットで頭を軽くたたかれ、快投の労をねぎらわれた。ここ数試合は5、6回を投げ終えて降板しており、8回まで投げるのは2カ月ぶりだった。

 4年連続プレーオフ進出を目指すチームは首位ヤンキースと6ゲーム差あるが、直接対決を10試合残す。2位レイズとは勝敗で並んでワンデープレーオフを戦える可能性が残っており、自力優勝の目は復活している。だが逆転優勝は容易ではない。松坂にも「これからずっと負けられない試合が続きますし、自分のことよりチームが勝ててよかった。それだけですね」と、7月19日以来の白星にも笑顔はなかった。

 チームは故障者続出で波に乗りきれず苦しい状況が続く中、松坂個人の状況には進歩の兆しが見られる。「いい時悪い時があるけれど、その中で確実に自分の状態が上がってきている実感はあります」。首痛、背中痛で出遅れ、5月1日オリオールズ戦で初登板と仲間に負担を掛けただけに、白星で借りを返していく。