<レッドソックス7-6ヤンキース>◇2日(日本時間3日)◇フェンウェイパーク

 【ボストン(米マサチューセッツ州)=四竈衛】レッドソックス松坂大輔投手(30)の2010年は、9勝6敗、防御率4・69で終わった。今季最終先発となるヤンキース戦に登板し、5回3安打4失点(自責2)。5四球2死球と制球に苦しみ、104球で降板した。勝敗は付かなかったが、プレーオフ進出も逃し、悔しさばかりが残るメジャー4年目となった。

 充実感には程遠かった。今季最終登板後の松坂は、感情を押し殺すかのように、淡々と言葉をつないだ。「すっきり笑えないまま、終わってしまったという感じです」。味方の拙守もあり、5回4失点。9月2日に9勝目を挙げて以来、5回目のトライとなった10勝目には、またしても手は届かなかった。

 悪条件が重なった。登板予定だった前日の試合が3時間半待った末に順延。松坂の登板は、午後9時5分開始のダブルヘッダー第2試合に組み込まれた。さらに、第1試合は4時間18分の延長戦。今季は開始の5時間前から準備を始めてきたが、この日はクラブハウスで待機を強いられた。第1試合終了からわずか11分後、観客の入れ替えが行われている中、アップを開始したものの、準備不足は明らかだった。「バタバタしましたが、仕方ないですね」。しかも、3番ドルー以外は若手の控え選手。ペナント争いの緊迫感とは無縁とあれば、松坂ならずとも、高い集中力を維持するのは簡単ではなかった。

 ケガでわずか4勝止まりだった昨季から復活を期した今季は、模索の1年だった。春季キャンプ中に首、背筋痛で調整が遅れ、メジャーに復帰したのは5月1日。好不調の波が激しく、前半戦は安定感を欠いた。その後も、調子が上向きになったところで、右上腕部痛、腰痛などに襲われた。その一方で、下半身主導のフォームに改良。ヒジの使い方を変えたことで肩の負担軽減に成功し、本来の球威が復活した。「この4年間で、自分に力があると自信を持って言えるシーズンでした。結果は伴わなくて残念でしたけど。ただ、選手としての幅が広がるという実感はあります」。

 成績、投球内容とも不本意なことは否定のしようがない。ただ、松坂は変化球で勝負するために米国へ渡ったわけではない。速球を磨き上げていく、高い理想は変わっていない。「自分が思うところを克服すれば、まだまだ成長できると思います」。今季は円熟期への土台固め。笑顔の代わりに、気持ちを込めた言葉で、今季最後の会見を締めくくった。