【オーランド(米フロリダ州)9日(日本時間10日)=四竈衛、佐藤直子通信員】今オフ、FAとなり、移籍先が注目される松井秀喜外野手(36)について、レイズのアンドリュー・フリードマンGM(34)が、獲得に前向きな姿勢を見せた。ウインターミーティング最終日のこの日、初めて報道陣の前で質問に答えたもので「彼が積み上げてきた実績は素晴らしい」と高く評価した。打線強化の軸として最終交渉へ進むことが確実となった。

 移籍先最有力候補の1つレイズのフリードマンGMが初めて松井に関して口を開いた。ウインターミーティングの会場ホテル。引き揚げる前に足を止め、笑みを浮かべながら話し始めた。「同地区の対戦相手として、素晴らしい功績を残した」と称賛した。松井には本拠地トロピカーナフィールドで打率2割9分7厘、8本塁打、40打点と打たれている。対戦を繰り返す中で、好印象を積み上げたことを明かした。

 もう1つの最有力候補アスレチックスだけでなくオリオールズ、レンジャーズも興味を示しているが、レ軍が松井獲得に動いている背景にはチーム事情がある。この日までに、レ軍は元本塁打王ペーニャ一塁手がカブスへFA移籍し、同じく中軸打線を担っていたクロフォード外野手のレッドソックス入りが内定。打点をたたき出す大砲が相次いで流出したことで、パワーヒッターの補強が急務となっている。

 フリードマンGMは「一塁手や指名打者(DH)ができ、打点を稼げるいい打者を獲得したい。DH専属プレーヤーを獲得するオプションもある」と話した。一塁とDHが兼任できるという点でリー一塁手(ブレーブスFA)も獲得候補に挙がるが、ロンゴリア三塁手、アップトン中堅手ら主力野手は大半が右打ち。同じく右打ちのリーよりも、移籍したペーニャやクロフォードのような左の強打者を補強したいというのが実情だ。

 松井自身もヤンキース時代に強豪ひしめくア・リーグ東地区の好敵手として対戦を重ね、レ軍マドン監督のそつのない試合運びに感心させられたことも少なくない。代理人のテレム氏が条件として掲げる「ペナントレースで争えるチーム」という点でも希望に合致している。

 ブルペン補強も並行して行わなければならず、会期中は毎日3時間程度の睡眠しか取れなかったというフリードマンGM。「特定のFA選手についてはコメントできない」としながらも、松井獲得へ向けて前向きな姿勢を示した。