<ナ地区シリーズ:ブルワーズ9-4ダイヤモンドバックス>◇第2戦◇2日(日本時間3日)◇ミラーパーク

 ブルワーズ斎藤隆投手(41)が1イニングを無失点に抑える好救援でプレーオフ初勝利を挙げた。同点で迎えた6回に2番手として登板。1死から二塁打を打たれ、2死三塁のピンチを迎えながらも最後は速球で空振り三振を奪った。直後の攻撃で味方打線が5点を勝ち越し勝利投手に。日本人投手としては08年のレッドソックス松坂、ドジャース黒田以来となる白星で、チームを地区シリーズ突破王手に導いた。

 2年ぶりとなる斎藤のプレーオフでの登板は、攻めの姿勢の中にも落ち着きを持つ、ベテランならではの投球だった。同点で迎えた6回。勝ち試合では通常6回にホーキンス、7回に斎藤が起用されるが、重要な勝負の分かれ目にレネキー監督は斎藤を指名した。

 監督の期待に応えた。マウンドでは「とにかく攻めよう」という気持ちで、打者と対峙(たいじ)。1死後、アンラッキーな二塁打で走者を背負うも、なおも焦らず攻めの姿勢を貫いた。2死三塁とピンチを広げたが、8番パーラに高め速球を4球続け、最後は時速93マイル(約150キロ)の速球で空振り三振。5回に追い付かれた嫌な流れを断ち切ると、白いタオルを振り回して応援を続けた4万4066人の観客が沸いた。

 「ルクロイ(捕手)のサイン通り。見事ハマりましたね。大声援で後押ししてくれるファンもいたから、迷わず勝負にいけました」

 メジャー6年でプレーオフ出場は5度目。これまで地区シリーズ4試合で投げているが、大半が負け試合での登板。08年は勝ち試合で投げたものの、1死も奪えず降板していた。プレーオフで自分が100%納得する投球はできていない。だからこそ、攻めの姿勢を貫き、1球1球の真っ向勝負に徹した。その結果、手に入れた1回無失点の意味は大きい。

 直後の攻撃で斎藤の気迫、ファンの声援、チーム全員の願いが、試合を動かした。1死一、三塁からルクロイがスクイズを決めて、まずは勝ち越し。その後も、敬遠を挟んで3連続適時打で4点を獲得。神がかったような集中攻撃を見せたブ軍打線は、この回一気に5点を奪い、試合を決めた。

 プレーオフ初勝利を手に入れた41歳は「僕の力じゃなくて、みなさんのおかげ。応援してくださっている方々、チームメート、スタッフの力が、あの攻撃にグッと集結しましたね」と、チーム、ミルウォーキーの街が一丸となっての勝利を喜んだ。

 2連勝したチームは、地区シリーズ突破へ早くも王手をかけた。だが、ここで気を緩めるわけにはいかない。プレーオフに過去4度出場しながら、途中敗退を繰り返した斎藤は、誰よりも短期決戦の怖さ、難しさを肌で感じてきた。「失点を防ぐことが勝ちにつながる。それを肝に銘じて、また次のマウンドに上がりたいですね」。次なる勝利に向け、早くも気を引き締め直した。【佐藤直子通信員】